27話 ちょっと悪いくらいがかっこいいと思っちゃう時期ってあるよね!
神乃者勇君の話です。
俺、神乃者勇は焦っていた。
タッグマッチトーナメント2日前だというのにまだペアを見つけていなかった。
なのでタッグマッチトーナメントにエントリーすらできていない。
なぜだ。
おかしい。
俺はこんなに強いのになぜ誰も声をかけに来ない。
声をかけてもらうために努力はしたはずだ。
比較的人の多い街近くの平原で狩りをしまくって強さをアピールしたり、そのさい「あーあ、まだタッグマッチトーナメントのペアがいないなー」といってさりげなくペアがいないことをアピールして声をかけやすい雰囲気を作ったり色々な事をした。
なのになぜか誰も俺にタッグマッチトーナメントのペアを申し込むものが現れない。
俺の作戦が間違っていたのか?
いや、そんなはずはない!
そんなはずはないが…。
そんなはずはないが未だタッグマッチトーナメントのペアが出来ていないのだから俺の作戦が間違っていたということをほんの少しだけなら認めなくてはいけないだろう。
ほんの少しだけな!
え?
自分から誘えばいいじゃないかだって?
嫌だよ。
断られたら傷つくじゃないか!
しかし困った。
このままではタッグマッチトーナメントに出場する事が出来ない。
俺はこの大会でこのゲームをプレイしているプレイヤーたちに俺こそが勇者だと認めさせなくてはいけないのに!
もう一つだけなら手がないというわけではない。
しかしあいつにお願いするのは気が引ける。
あいつというのは俺の幼馴染の新宮真琴だ。
お願いすれば面倒見のいいあいつはなんだかんだ了承してくれるだろう。
しかしなー…。
えーい。
背に腹は代えられない!
明日学校に行って頼みこもう。
朝学校に行く俺の足取りは重かった。
重い足取りのまま畑山高校2年B組の教室に入る。
新宮も畑山高校2年B組なので教室を見渡して新宮を探す。
いた。
俺よりも早く学校に着いていたようだ。
俺は早速、新宮にゲームを始めてタッグマッチトーナメントに出場する事をお願いするために話しかけた。
「おう。新宮、ちょっと面かせや。」
俺がそう言うと強烈な蹴りが飛んできた。
ドカッ!
グヘッ!
「え?なんだって?」
すごい顔で睨まれながら聞き返される。
何その顔すごい怖いんだけど!
蹴りも超痛いし!
俺は瞬時に察した。
これ以上強気な態度をとったら死ぬと!
だから俺は土下座をした。
「ごめんなさい!ちょっとお願いしたい事がありまして話だけでも聞いてもらえないでしょうか。」
「わかったわ。ここだとあれだから場所を移しましょう。」
たしかにここだとクラスのみんなの目が痛い。
くそう!
もう高校2年なんだから少しくらい格好つけさせてくれてもいいじゃないか。
俺はとぼとぼ歩きながら新宮の後ろをついていった。
俺たちは人気のない廊下に来た。
「で?お願いって何?」
そして俺はチェンジワールドオンラインというゲームをやっていること。そのゲームでタッグマッチトーナメントというイベントがあること。そしてタッグマッチトーナメントに出場したいけど前日なのにペアがいないこと。全てを話した。
「なるほど。理解したわ。おおかた私を誘うのを最終手段にでもしてたんでしょ。もっと早くお願いしてこればいいのに。それくらいならすぐに手伝うわよ。」
「手伝ってくれるの?」
「今そう言ってんだけど。」
「本当?」
「本当よ。」
「やったー!」
俺は喜びの勢いそのままに新宮に抱き着いてしまった。
パシンッ!
結果、頬に立派な紅葉マークを作ることになったがようやくペアを獲得する事が出来た。
結果オーライ。結果オーライ。




