25話 おこぼれ王子ってそれはひどくない?
今日2話目です。
「勝者フータ・アオペアーーーーーー!」
よっしゃー!
優勝だ!
「「「「え、えー」」」」
あれ?
なんだか観客の反応が微妙だぞ?
なんかざわざわしてるだけで歓声が全然聞こえてこない。
おかしいな。
もっと、わーーーっと盛り上がってもらう予定だったのに。
「さーて、これでタッグマッチトーナメントは終わりだよー♪上位3チームには後日豪華景品をメールで添付して送るから楽しみにしていてねー♪それじゃーみんな解散♪」
アイちゃんの解散宣言を受けて観客は微妙な顔をしながら会場からぞろぞろと出ていく。
あれーーーー、おかしいな?
《森の目覚め》と《植物操作》で結構派手に倒したはずだったんだけど。
確かにアオの《矢の雨》よりは派手ではなっかったかもしれないけど…。
それでもアオみたいに圧倒的に勝利したんだからもっと盛り上がってくれてもいいんだけど…。
「じじょーーーーーー!」
!?
アオが涙と鼻水を垂らしながらこっちに向かってくる。
「すびばぜんでしたーーーーー」
こっちに向かってきた勢いそのままに土下座をした。
「ど、どうしたの!?」
「やぐぞくしたのにー守れなぐでーごべんなさいー」
「いいからいいから、お願いだから顔上げて!」
まだ残っている観客の目がいたい。
「グスンッ」。許してくれるんですか?」
「うん。許すよ。てか謝らなくてもいいよ。アオ十分強かったし。」
「俺も強くなった気でいましたけど師匠に比べてらまだまだですね。もっと強くなれるように頑張ります!」
これ以上強くなったら僕よりも強くなるんじゃない?
それはちょっとだけ嫌だけどアオに負けないように僕も頑張るしかないか!
「うん。頑張って。」
「はい!」
僕たちがそんなことを話しているとお客様が来た。
「自称勇者、何の用だ?」
アオが高圧的な態度で自称勇者に用件を聞く。
「自称ではない!本物の勇者だ!それに負け犬には用はない。そこのおこぼれ王子に話があってきたのだ!」
おこぼれ王子?
僕のことかな?
「僕のことですか?」
「そうだ!お前だ!今日はな、そこの負け犬に勝って油断していたからやられてしまったが次は勇者である俺が必ず勝つ!覚えてろ!」
そう言うと自称勇者は帰っていった。
「なんなんだ失礼な奴め!」
「おこぼれ王子…。」
ガクッ!
おこぼれ王子という言葉に僕はうなだれる。
「し、ししょう!?」
もしかして観客も僕が勝ったのは僕の実力じゃなくてあの自称勇者がアオに勝って油断していたからだと思っているのではないだろうか!
そうだとしたらあの優勝決定後の観客の微妙な反応もうなずける。
これはまずい!
せっかく優勝したのに悪い意味で目立ってしまったかもしれない!
「師匠あんな奴の言葉気にしなくていいですよ!」
アオがうなだれてる僕を慰めてくれる。
なんていいやつなんだ!
「師匠のこと誰もおこぼれで優勝したなんて思ってないですよ!」
「ほんとう?」
「本当です!」
「でも、優勝した時みんな微妙な顔してたよ?」
「それはあれですよ…。師匠がかっこよすぎてみんな声が出なかっただけですよ!」
「そうなのかな?」
「そうですそうです!だから元気出してください師匠!」
本当かな?
うーん。
でもアオが言うんだし間違えないか!
「そうだね!優勝したんだし元気出さなくちゃだね!」
「はい!」
こうして僕はアオに慰められながら会場を後にするのだった。




