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205話 男の子は事実を突きつける!

昨日は投稿出来なくてごめんなさい!


「さあ、行こう!」

 僕の掛け声で全員が物置部屋から出て行く。

「アオは屋根の上に! シーナとルナはパレットの傍。パレットが描き終わるまで守り抜いて! レイクは僕から離れないで!」

 僕は皆に指示を出す。

「「「「「了解」」」」」

 それぞれが自分の配置に着く。

「それで、僕は何をしたらいいかな?」

 そこには誰もいなかったはずなのに、僕達のすぐ背後で聞こえた声。

 その声の主は愉快に笑った。

「僕は何をしたらいいんだい? 後々厄介になりそうなこの子を殺せばいいのかな?」

 突如背後に現れた男の子はナイフを取り出し、パレットに飛び掛かる。

「私達が!」

「守ります!」

 パレットの傍にいたルナとシーナがパレットの前に立つ。

 2人は剣と弓を構えようとするが、構える前に聞き殺されてしまう。

「命懸けで守られるなんて大切にされてるねー。それにしても自分達が盾になることに迷いが無かったね。そういう指示をされていたのかな? まあ、なんとなく分かるけどね。やる事がないと可愛そうだからって誰でも出来るようなことをやらせたんでしょ。指示だとしても命を懸けてもらえるなんてそうそう無いよ? そんな大事にされてる物をアッサリ壊しちゃうっていうのも楽しいんだけどね!」

 男の子はルナとシーナを切った後、そのままパレットに切り掛かる。

「下がれ!」

 すでに屋根の上にいるアオが男の子に向けて矢を射る。

 パレットはアオの声で男の子から1歩離れると2人の間に矢が通り過ぎる。

「パレットは僕達の後ろに」

 僕はパレットを僕とレイクの後ろに下がらせて守る。

「時間は稼ぐ。今のうちに絵を完成させてくれ」

「分かりました」

 パレットは筆を構えると地面に熊の絵を描き始める。

「時間を稼ぐって? 君たちが?」

「レイク!」

「分かってる!」

 レイクが男の子と距離を詰めると同時に僕は後ろに下がる。

「《森の目覚め》《植物操作》」

 レイクが男の子に殴りかかり、僕は後ろから木の根を伸ばして攻撃する。

 さらに屋根の上からはアオが矢を放ち続ける。

「いやー、なかなか手数の多い攻撃達だね。それに他の人の攻撃も意識して、僕を誘導しているのも悪くない。例えば今のフータ君の攻撃を避けると丁度レイク君のパンチが当たるようになっているね。さらにそのパンチを避けた先にはアオ君の矢が待っている。本当に君たちは仲が良いんだな。でも、僕から言わせたらそれだけだね。意識しているが故に僕から見たら読みやすい。君達がどういった意図でその攻撃をしているのか、全てを避けて最後決めに来た攻撃だけを防げばいい。だからこうやって攻撃を先読みしたら簡単に目標に辿り着けたりもする」

 そう言った男の子は僕とレイクの間を通り抜けるとパレットの目の前に立つ。

「あなたが悠長に話していてくれたおかげで私の準備も終わりました。《お絵描き魔法・銀》潰しちゃってください」

 パレットの準備は既に完了していて、銀色の巨大な熊が立ち上がる。

 銀色の熊は立ち上がると辺りの建物の2倍程の大きさになり、足元にいる男の子を見下ろす。

「やっぱり大きいねー」

 男の子は呑気に言う。

「グァァァァァァァ!」

 銀色の熊は男の子を潰そうと手を振り下ろす。

「僕はさっき君達を殺した後少し考えたんだ。攻撃力も素早さもあって、尚且つ僕の魔法まで反射する。そこで思い付いたんだ」

 男の子はナイフで迫りくる熊の拳を切る。

 切られた熊は銀色の絵の具に戻ってしまう。

「もしかしたら、物凄く物理攻撃に弱いかもってね。案の定この通りだよ。それで、君達の切り札はもういなくなちゃったけど、どうする?」

「関係ない! もう一度だ、レイク、アオ!」

「うん!」

「はい!」

 僕達はもう一度攻撃を再開する。

「心折れないねー。いいよ、いいよ。楽しくなってきたよー。誰から殺しちゃおうかなー。よし、決めた! 僕から近いところにいる人からにしよう」 

 男の子の1番近くにいる人はレイクだ。

 男の子はレイク目掛けてナイフを振る。

 レイクはスレスレで避けて男の子から離れる。

「へー。これを避けるんだ」

「さっきやられてるからね。同じ攻撃はもう効かないよ」

「だったら、もっと速くしたらどうかな?」

「へ?」

 男の子はもはや目に見えない速度で攻撃を繰り出す。

 レイクはアッサリと切られてしまう。

「それで、ギルドメンバーが殺されたのに君は突っ立って何をしてるの?」

 レイクが切られたと思ったら、男の子はいつの間にか僕の目の前にいた。

 僕は男の子と距離を取るために、後ろに跳ぼうとする。

 しかし、足を切り落とされその場で倒れてしまう。

「君は圧倒的に反応速度が遅いね。素の強さで言えば君は一般プレイヤーよりも少し強い程度だ。スキルが強いから今までは通用していたかもしれないけど、この先スキルだけに頼っていたら、君はどんどん周りに置いていかれることになるよ」

「っ!」

「本当のことだから言い返せないよね。まあ、頑張ってよ。次からね」

 そこで僕は物置部屋に戻されてしまう。

 僕は男の子の言葉が引っ掛かり、しばらく起き上がれそうになかった。


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