表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
201/220

197話 殺人事件!

 いきなり現れたオトガルシアの街。

 さっき出てきた部屋にはセーブポイントがあった。

 つまり、まだここはダンジョンの中だということだ。

 看板さえあれば確信できるんだけどな……。

 看板を探すとすぐに見つかった。

 人々が行き交う道の真ん中にポツンと建てられている。

 そして違和感の正体に気付く。

 歩いている人達だ。

 行き交う人は大勢いるが、全員がふらつくことも無く、自分の進む方向に一直線に進む。

 会話も一切なく、決まった行動をしている。

「やっぱりここはまだダンジョンの中だ」

 外に出たと思っている一同に僕は事実を伝える。

「ダンジョンの中!? ここが? だって明らかにオトガルシアの街だよ」

 レイクが驚いて発言する。

 シーナとルナも驚いている様子だ。

「はら、あそこを見て」

 僕は看板を指さす。

「あそこに看板があるでしょ。僕とレイクが今日あの場所を歩いていた時はあんな看板は無かった。さっきの部屋にはセーブポイントもあった。だからここはダンジョンの中だとみていいと思う」

「確かにあんな看板無かったねー」

「ありませんでしたね」

「そうですね」

 ここがダンジョンの中だということを理解してもらったところで僕達は看板を見に行く。

 看板にはここ2階層の情報が書かれていた。


『これからここで殺人事件が起きます。犯人を倒せば次の階層への扉の鍵を手に入れることができます。なお、関係ない一般市民を倒してしまった場合はやり直しになるのでご注意下さい』


 看板はシンプルだった。

 殺人事件の犯人を倒して鍵を手に入れろというもの。

 つまりここを歩いているNPCの誰かが殺される。

「殺人事件!? 物騒だね……」

「あまり気分の良いものではないですね」

「殺人事件が起こる前に犯人を捕まえられないですかね」

 これから戦闘になると判断した僕は素早くいつもの装備に着替える。

 剣があることを確認して集中する。

「怪しい人物がいたら報告を! 未然に防ぐことができるならそれが一番だけど、起こってしまった場合は気持ちを切り替えて殺人犯を倒すことに集中!」

 僕は3人に指示を出す。

 行き交う人達を満遍なく見て怪しい人物を探す。

 殺人犯は誰だ?

 事件はどこで起きる?

 怪しい挙動している人を探す。

 異変が起きている場所がないか探す。

 僕達は話すことなくこの街を見ることに集中する。

 そして事は起こる。

「え?」

 僕の視界が落ちていく。

 転んだ?

 歩いてもいないのに転ぶわけがない。

「フータ!」

 レイクが必死に僕の名前を呼ぶのが聞こえる。

「「フータさん!」」

 シーナとルナもどうしてそんなに焦っているんだ。

 そう思う途中も視界は落ち続けている。

 視界は地面に落ちて、転がる。

「あ……」

 僕は全て理解した。

 僕の目の前には立ったままの僕の体があった。

 首より上は無かった。

 殺人事件の被害者は僕だ。

 そう理解すると景色が変わる。

 賑やかなオトガルシアの街から一変、薄暗い物置部屋に戻された。

 やがてレイク達もこの部屋に戻ってくる。

 扉からではなく、僕と同じように死んで転送されて来た。

「どうなってる?」

 僕はいつの間にか死んでいた。

 反応する事も犯人の正体を見ることも出来ずに。

 少なくとも僕が僕の体を見た時には犯人らしき人はいなかった。

 この階層の難易度は想像以上かもしれない……。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ