188話 脳内シミュレーションは完璧!
ナメクジを倒し続け、お金を稼ぎ、2時間程の睡眠の後にまたチェンジワールドオンラインに戻ってきた。
時刻は午前7時。
約束の時間は10時なのでまだ3時間の余裕がある。
ギルドハウスの自室でドラゴンの着ぐるみから昨日あんこ達に買ってもらった服に着替え待ち合わせ場所のオトガルシアに向かう。
オトガルシアの転送用ポータルの前でレイクが来るまで待機だ。
この時点で待ち合わせ時間まで残り2時間。
楽しみで早く来すぎた……。
僕はベンチに腰掛けながらゆっくりと時間が来るまで待つことにする。
朝も早い時間なのであまり人もいない。
実はオトガルシアに来るのは『防衛戦』前の緊急クエスト以来だ。
なのでどんな街で、どんなお店があるのかあまり把握していない。
そこも楽しみな要因の1つだ。
まあ、1番はレイクとの買い物だけどね。
って、何言ってるの!
僕は今の関係を守るためこの気持ちを抑えると決めたんだ!
僕は頭を振って邪念を払う。
今日はあくまでも友達と遊ぶ感じでいないといけない。
そこで一つの疑問が生まれる。
……友達と遊ぶ感じってどんな感じだろう。
そう言えば、ついこの前までは友達なんて出来たこと無かったんだ。
友達と買い物……。
風香や親となら買い物に行ったことがあるけど、友達とだとどう違うのだろうか?
親とだと僕は毎月貰っている5千円のお小遣いを握りしめて買い物に行くのだが、欲しいものがないので結局貯金してしまう。
風香と行くと風香は僕がお小遣いを貯め込んでいることを知っているので、色々の物をねだられてつい買ってあげてしまう。
レイクも風香と一緒で若い女の子なので何かねだられたりするのだろうか?
一応、かなり頑張って30万ゴールド位稼いできたけど、足りるのかな?
普段レイクがどんな物を買っているのか知らないのでお金が足りるか分からない。
もっと稼いでおけば良かったか?
早く着いたことでこの後の事を考える時間が出来てしまい、考えれば考えるほど不安になってしまう。
これだけ考えたのだからもう2時間位経っているだろうと思ったが、15分しか経っていない。
時間は常に一定に流れているはずなのに、早いと感じたり、遅いと感じたりするから面白いものだ。
今はとにかく友達との買い物について考えて、しっかりと脳内でシミュレーションして予想しておこう。
僕は脳内シミュレーションを開始する。
まず待ち合わせは午前10時。
そこから考えられるのは間違いなくお昼ご飯はどこかで食べるということ。
お昼ご飯の前と後に何をするのかは予想もつかない。
つまり僕の脳内シミュレーションで分かったことはお昼ご飯を食べるということだけ。
その後も考え続けるが僕に分かることは結局お昼ご飯を食べるということだけだった。
それでも時間は過ぎて約束の時間まで残り30分になる。
「フータ、お待たせ」
不意に声を掛けられ僕の長い一日が始まる。
読んでいただきありがとうございます!




