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187話 頭は人間、首から下はドラゴン!

 僕はべリアちゃんに肩を掴まれ引きずられたまま数店舗の服屋を回る。

 数店舗の服屋を回って僕の明日のコーデはどんどんと出来ていく。

 途中にドラゴンの着ぐるみや、豚の着ぐるみ、アロハシャツなど、バラエティーに富んだ内容のお店もあったのでそのお店では、見事に僕はマネキンにされて皆に遊ばれた。

 そして今、頭は人間、首から下はドラゴンという奇妙な格好をさせられている。

「プッ、似合ってるわよフータ」

「プッ、そうですね。似合っています」

 あんことゆきは笑いを堪えながら言う。

「そう言うのは笑いを堪えながら言わないで欲しいな……」

 首から下だけ強そうな僕はあきらめた様に言う。

「あと靴だけかー。何処の店に行くかな?」

 べリアちゃんもさっきまで楽しそうに僕で遊んでいたはずなのに既に興味は再び僕の明日の格好に移ったようだ。

 ありがたい……。

「靴はどのお店にも沢山あったのにいいものは無かったの?」

 僕はべリアちゃんに聞いてみる。

「そうだなー。あった事にはあったんだけど……いまいちピンと来るものが無かったんだよなー」

 どうやらべリアちゃんの気に入る物は無かったようだ。

「あれなんて良かったんじゃない?」

「あれ?」

「そう。あれよ。巨人の足靴」

「あれですか」

 巨人の足靴というのは今僕が着ているドラゴンの着ぐるみが売っていた店にあった。

 人間よりも10倍位の大きさで、巨人の素足がプリントされた靴が売っていたのだ。

 この靴が良いわけがない。

 つまりあんことゆきはまだ僕で遊んでいるということだ。

「キュー!」

 きーこも僕が巨人の足靴を履いている姿を想像したのかクスクスと笑った。

 遊ばれてはいるがこんな一時も悪くないな。

 そして今日最後になるであろうお店に入る。


 赤色の靴を買い、店を出た僕達はギルドハウスに帰る。

 ギルドハウスに帰るとチェイスさんが迎え入れてくれた。

「お帰りなさいませ」

「ただいま」

 チェイスさんに挨拶をしてリビングのソファーに深く座る。

「いい服は買えましたか?」

 チェイスさんが僕の所に来て今日の買い物の事を聞く。

「はい。皆のおかげで明日の準備はバッチリです」

「そうですか。それよりもその格好は……」

 チェイスさんは僕の変わり果てた格好を見て言う。

「ちょっと遊ばれちゃいました」

 僕はほっぺをかきながら言う。

「それは楽しかったようですね」

 チェイスさんは目を細め優しく言った。

「アハハ……」

 嫌がって見せてはいても、内心楽しかったので、チェイスさんにズバリ言い当てられて僕は少し笑って答える。

「あ、そうだ。これをチェイスさんに渡しておいてもいいですか?」

 僕はアイテムボックスから大量の服を出す。

「これはたくさん買いましたね」

「つい買っちゃいました。こっちがべリアちゃんの分でこっちがきーこの分になります」

「はい。お預かりします。小さい方がきーこちゃんの分で、少し大きい方がべリアちゃんの分ですね。それぞれの部屋に運んでおきます」

 そう言ってチェイスさんは大量の服を抱えてリビングから出て行く。

 さて、僕も今日はログアウトするかな?

 皆にお礼だけ言って今日は落ちるとしよう。

「皆今日はありがとう。余ったお金があったら返して欲しいんだけど……」

 明日のためにも残りのお金だけは返してもらう。

「お金? それなら全部使ったわよ」

「え?」

 聞き間違いかな?

「というか、私達がフータのために使ったお金が2万ゴールドくらいで、残りはフータが使ってたじゃない」

 聞き間違いじゃなかった。

 それに思い当たる節がありすぎる。

「もう1ゴールドも残ってない?」

「そうね。すっからかんよ」

「本当に?」

「本当よ」

 つまり僕は今無一文?

 明日レイクと買い物に行くためのお金は?

 どうしよう……。

 そう考えてもやることは1つしかない。

「……ちょっとナメクジを倒しに行ってきます」

 僕はギルドハウスを出て大量のナメクジで荒稼ぎをするためにナメクー島に向かう。

 今日の夜は長くなりそうだ。

読んでいただきありがとうございます!

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