表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
185/220

181話 役に立つ証拠!

「どういうこと?」

 状況が分からない僕はショートヘアの少女に聞く。

「そのまま意味です。私達も一緒に連れていってください!」

 ショートヘアの少女は僕の目を真っ直ぐ見て言う。

「わ、私からもお願いします!」

 今度は弓を使っていた少女も遅れて僕達の方へ来る。

「僕はいいけど、ユウはどう?」

 僕一人で決めることではないのでユウにも意見を求める。

「先を急がないといけないしな……。この先がどれだけあるか分からないから一緒に行くことは出来ねえ。ここにある扉から一緒に出ることは勝手だけどな」

「そんなー」

 ユウの言葉を聞いてショートヘアの少女は肩を落とす。

 そんな姿を見ていると何だか可哀想に思えてくる。

 少しは助け舟を出してあげよう。

「この子たちを連れていけば何か役に立つかもしれないよ? それに早く出たいなら少しでも戦力になる人が多い方がいいんじゃない?」

「フータさん……」

 僕は尊敬の眼差しをショートヘアの少女に向けられる。

 あれ? どうして僕の名前を知っているんだろう?

「本当に役に立つのか? 今止まってる時間も俺達の寿命が縮まってる事を考えろよ」

「寿命が縮まってる!?」

 少女2人はユウの発言にびっくりして目を見開く。

「こっちの話だから気にしなくてもいいよ。それに僕にも関係ない話だからね」

 僕がそう言うとユウの発言について少女2人は追及してこなかった。

「私達が役に立てる事……」

 ショートヘアの少女が顎に手を当てて考える。

「あっ……先程このダンジョンがどれだけ続いてるか分からないって言ってましたよね?」

 何かを思い付いたショートヘアの少女はユウに確認する。

「ああ、確かにそう言ったな。実際そうだろ。クリアしてる奴がいるのかも分からねえし、俺は早くここから出ないと命に係わる」

「それなら私達がこのダンジョンの情報を持っています。私達を連れていく理由はそれだけでは足りませんか?」

 ショートヘアの少女は自信満々に言う。

「それは本当?」

「はい。本当です」

 弓使いの少女が言う。

「本当と言える証拠はある?」

「証拠は私達が『炎の王国』のギルドメンバーだからです!」

 ファイヤさんの『炎の王国』のギルドメンバーなのか!?

 でも、どうして『炎の王国』のギルドメンバーだとダンジョンの情報を知っている証拠になるのだろう。

「だからってそれが証拠になる訳じゃねえだろ。『炎の王国』がこのダンジョンを既にクリアしてるなら別だけどな」

 僕が言いたかった事をユウが言ってくれる。

「あれ? 知らないんですか? 昨日『炎の王国』の上位のプレイヤーをファイヤさんが率いてこのダンジョンをクリアしましたよ」

 ショートヘアの少女は首を傾げながら言う。

「「なにー!?」」

 ユウと声が重なった。

 もうクリアしている人がいると思わなかった。

 正直に言うと、少しだけ僕達が一番にクリアできるのではないかと思っていた。

 ユウも同じ気持ちなのではないだろうか。

 ファイヤさんの行動は流石に早いな。

 ネロから情報が入ってきたのが昨日なので、このダンジョンが出現したのも昨日だろう。

 ネロの情報は早くて正確だからね。

「だったら2人はファイヤさんからここのダンジョンの情報を聞いてると考えていいのかな?」

「はい! このダンジョンの情報は『炎の王国』内で共有されています」

「それを今教えて貰うことは出来る?」

 僕はダメもとで聞く。

 未だ信頼関係がない以上、今その情報を僕達に話せば少女2人は置いて行かれるかもしれないと警戒するだろう。

「今は言いません。もしここで言ってしまったら、フータさん達は私達を置いて行ってしまうかもしれないので」

 やっぱり。

 そんなことはしないんだけどな……。

 まあ、初対面だししょうがないか。

「分かった。だったら案内をお願いできるかな? 僕達は2人の後をついて行くよ。ユウもそれでいいよね?」 

 この条件ならユウも首を縦に振ってくれるはずだ。

「ああ、それで問題ない。そういうことなら早く行くぞ」

 ユウにせかされて、僕達は閉ざされた扉に作った鍵を使って出て行く。

 扉を出ると3階層に続く階段があった。

 4人になった僕達は1列に並んで階段を下りていくのだった。

読んでいただきありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ