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179話 新米プレイヤーは憧れる!

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『洞窟のダンジョン・初級 2階層』

 

「もう無理! 数が多すぎて対処できないよ!」

 そう言ったのは私の隣で一生懸命弓を撃っている少女だ。

 私は1ヶ月程前にこのゲーム、チェンジワールドオンラインを始めた新米プレイヤーだ。

 右も左も分からない状態でいる所を『炎の王国』というギルドのプレイヤーに色々教えてもらいそのままこのギルドに加入した。

 『炎の王国』というギルドはとても良いギルドで、マスターのファイヤさんは、顔が怖いけど凄く優しい人だし、100人を超える巨大ギルドなのにも関わらず、争いごともなく皆が仲良く、楽しくゲームをプレイしている。

 イベント事も積極的に参加し、先日行われた『防衛戦』ではファイヤさんが中心になっていたと聞いた。

 私も『防衛戦』で初めてのイベントデビューを果たした。

 『炎の王国』はオトガルシアを守っていたけど、私は一番思い入れのあるハーマリの街を守っていた。

 ハーマリには白竜が現れ、私はその白竜の姿に感動して恐怖した。

 そんな私に目もくれず白竜に向かっていくプレイヤーがいた。

 『フォレスト』というギルドのマスター、フータさんだ。

 フータさんと『フォレスト』というギルドの事はファイヤさんがよく話しているので、私も名前だけはよく知っていた。

 それにフータさんは『タッグマッチトーナメント』と『宝探しゲーム』で1位を取っていて、ギルドメンバーもこれらのイベントで好成績を残しているという話も聞いていたので、このゲームにおけるトッププレイヤー集団のギルドと覚えていた。

 フータさんは黒い大きな兎に乗って誰も追いつけない速さで白竜へ向かっていく。

 途中に黒猫の可愛いお姉さんも後ろに乗せて、私の見える範囲からいなくなってしまう。

 私は無意識に白竜の元へ向かった2人を追いかけてしまう。

 全力で走り、辿り着くと白竜と戦う2人のプレイヤーと小さい黒竜と兎の姿があった。

 遠くの方からだったが、そこでは次元の違う戦いが繰り広げられていた。

 私はその戦いを見て、このゲームの上位プレイヤーの強さを知った。

 そして憧れた。

 私もこんな風にかっこよく戦いたいと。

 見事に白竜を倒した2人はまさに英雄そのものに見えた。


 昨日『洞窟のダンジョン』というものが発見されたとプレイヤー達の間で情報が出回った。

 『炎の王国』のギルドマスターのファイヤさんとギルドでも上位の方にいるプレイヤーの皆さんがこのダンジョンを攻略しに向かい、10時間程でその日のうちに攻略して戻ってきた。

 聞いた話によると難易度も高くないということだったので私は『炎の王国』に入ってから仲良くなった少女と攻略に向かうことにした。

 このダンジョンを攻略出来たら、少しはあの2人の姿に近づけると思ったからだ。

 最近では霧の道にトカゲも2人なら簡単に倒せるようになったので『洞窟のダンジョン』まで苦労する事なく到着した。

 中に入るとダンジョンに閉じ込められる。

 1階層は迷うと聞いていたけど、運よくなのか一直線に下の階段に到着する事が出来た。

 なので2時間くらい歩いただけで2階層に着いた。

 これは昨日の『炎の王国』の人達よりもかなり早い時間だ。

 その時点では私はもしかしたらという気持ちがあった。

 2階層に着くと看板とセーブポイントがあった。

 2階層の看板にはこう書かれていた。


『この先にあるのはモンスタールーム。大量のモンスターが中に入ったプレイヤーを襲います。先に進むには大量のモンスターの中から輝くモンスターを5匹探し、倒してください。それぞれが《鍵の欠片》を持っていて5つ集まると鍵に変化してモンスタールームから出ることが出来ます。モンスタールームを出た先は3階層に続く階段があります』


 その看板を見た私達はモンスタールームに入って、今の状況になる。

 絶賛ピンチ!

 誰か助けて!

 ギルドマスター達の簡単は私達にとっての簡単ではないことを知った。

 四方八方をモンスターに囲まれ天井までモンスターにでびっしり。

 こんな中で《鍵の欠片》を持っている輝くモンスターを見つけることが出来る訳なく、ジリジリとHPを削られている。

 1体1体のモンスターは強くないが、それが束になれば話は別だ。

 いつもなら負けないモンスターでもこれだけ一気に襲ってこられると私達のような新米プレイヤーではどうにもできない。

 入ってきた扉から出て、今すぐにでも逃げ出したいけど、こちらもモンスターが邪魔で近寄れそうにない。

「頑張って耐えよう。1階層には沢山のプレイヤーがいた。2階層まで下りてきたプレイヤーが助けてくれるかもしれない」

 私は隣で戦う少女を勇気づけるように声をかける。

「う、うん。もう少し頑張ってみるね」

 その時、扉が勢いよく開かれる。

「急ぐぞフータ! 俺の命がかかってる!」

「ユウの命なんて知らないよ。あれ? 先客がいるね。ごめんだけど、ちょっとお邪魔するよ」

 1人の声は物凄く怖い何かに追われているような慌てた声で、もう1人の声はこのモンスターだらけの様子を見ても落ち着いている声だ。

 現れたのは新米プレイヤーの私でもよく知る、有名プレイヤーの2人だった。

 

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