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178話 洞窟のダンジョンで行き止まりを突き進む!

 広い空間には何本も道があって僕とユウはその1つに入る。

 道の始まりにはまた看板があった。


『洞窟のダンジョン・初級 1階層』


「「洞窟のダンジョン・初級 1階層」」

 僕達は看板に書いてある文字を繰り返す。

「なんだ初級かよ。どうせなら上級が良かったぜ」

「いや、初級でよかったとみるべきじゃないかな。僕達は今閉じ込められている状態だ。初級なら今日中にクリアできるかもしれないし、ここはいったん外に出ることを目標にすべきだ」

「やけに消極的だな。外に出ないといけない理由でもあるのか?」

「ちょっとね。日曜に予定があるから、それまでには出ないといけないかな?」

「日曜か。それなら楽勝じゃないか? 今日はまだ月曜だぞ」

「そうだといいんだけどね。このダンジョンの情報が何も無いからどうなるか分からないよ」

「それもそうか。だったら早く行くぞ。俺も遅くなってニーヤに怒られたくないしな」


 洞窟のダンジョンと言うだけあって、中は洞窟が続いている。

 モンスターも出るが弱いモンスターばかりで、それも1体ずつ出てくるので、僕とユウの敵ではなかった。

 厄介なのは地形の方かもしれない。

「また行き止まりかよ!」

 これで行き止まりは3度目だ。

 始めは1本道だったが、進むにつれて道が分かれ、今はもうどうやってここまで来たか分からなくなっていた。

「マッピングしておけばよかったな……」

 このダンジョンではマップを開くことが出来ない。

 記憶力がいいなら道を覚えておくことも出来るだろうけど、残念ながら僕とユウは2人とも、とても頭がいいとは言えない。

「オラッ!」

 ユウがいきなり行き止まりになっている壁を剣で切る。

「何やってるの!?」

「道がないなら作るまでだ。オラッ!」

 作るまでって……。

 そもそもゲームだから壁は攻撃しても崩れないようになってるんじゃないの?

 そう思っていたがユウが攻撃していると、壁が崩れ別の道が現れる。

「ほら見ろ! 俺の読み通り別の道が現れたぜ」

「道があらわれるとは言ってなかったけど、ナイスだよ。ユウ」

「さっさと行くぞ。階段見つけてクリアまで一直線だ」

 

 僕達は行き止まりに当たるたびに壁を壊して先に進む。

 ユウに任せきりにならないよう僕も《森の目覚め》と《植物操作》を用いて壁を壊す。

 2人でやることにより、効率が上がって、ほぼノンストップで道を進む。

 たまに壊した壁の先にプレイヤーがいて、驚いた顔を見るのは少し面白かった。

 数時間、壁を壊しながら進んでいるが下への階段はまだ見つからない。

「いつまでやっていればいいんだよ!」

 ユウはだんだん飽きてきている。

 僕も現実世界では遅い時間になり始めていて、ログアウトしないと行けな時間が迫っているので焦り始めていた。

「オラッ!」

 ユウが力任せに壁を壊す。

 現れた道を進むと、僕達が壊したであろう道があった。

「ここ通ったてことだよな?」

「そうみたいだね。まだ全部の道を行ったわけじゃないから分からないど、どうもおかしい気がする」

「ああ。めちゃくちゃだが、これだけ進んで下の階段が見つからないのは流石におかしいぜ」

 ここは『洞窟のダンジョン・初級』と書いてあった。

 初級という難易度なのにそんな見つからないことがあるだろうか?

 もっと簡単に見つける方法があるかもしれない。

 僕達が今持っている情報は2つ。

 数時間探し回っても見つけられないということ。

 行き止まりの壁を壊せるということ。

「ユウ、普通の壁は壊せないかな?」

「普通って、この壁でいいか?」

 ユウは真横にある壁を指さして言う。

「うん。壊してみてくれる?」

「分かったぜ」

 ユウが壁を切ると、行き止まりの壁同様に、普通の壁も崩れて、道が現れる。

 なるほど。

 問題なく壊れるか。

 ということはこのダンジョンの壁はどこでも崩すことが出来るということだ。

 それなら地面はどうだろうか?

 僕の予想が正しければこれで下の階に……。

「ユウ次は地面をお願い」

「了解だ! オラッ!」

 ユウは地面に向かって剣を振る。

 地面がブロック状に切られ、僕達の足元が崩壊する。

「え?」

 僕達はそのまま下に落ちる。

「おい! これ大丈夫なのか?」

「いやいや、普通穴を開けて下の様子を見るでしょ!」

「……そっか。すまん」

「すまんって!」

 僕達は下に落ち続ける。

 このままだと落下ダメージで死んでしまう。

 どうにかしないと!

「《森の目覚め》!」

 《森の目覚め》が発動した感覚がある。

 下は暗くてまだ見えないけど、どうにか木達が受け止めてくれるように配置したつもりだ。

 後は運に身を任せる。

 下の地面付近に来て僕達は木のクッションで勢いを殺す。

 木のおかげで勢いは激減して、地面に着地する事が出来た。

「《解除》」

 僕は《森の目覚め》を解除して周りを見る。

「フータ、あれを見ろ」

 僕は、ユウが指をさしている方向を見る。

「あ……。これって……」

 そこには上へ続く階段があった。

 もしかして階段は探せばちゃんとあったのに、僕達は無理矢理に下の階に下りてきちゃった?

 上へ続く階段の所にも入った時と同じような看板があり、こう書いてあった。


『洞窟のダンジョン・初級 2階層』


 これはやってはいけないことをしてしまったかもしれません。

 取り合えず……ごめんなさい!

 僕は心の中でこのダンジョンを造った、チェンジワールドオンラインの運営の皆様に謝るのだった。

 

 

読んでいただきありがとうございます!

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