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174話 日常の中の激闘!

 『防衛戦』も終わり1日の休日を挟むと日常が帰ってくる。

 思わずただいまと言ってしまいそうな、いつもの学校での日常だ。

 戦いもない平和な日常。

 そう思っていたのに……。

「おい! そっち行ったぞ!」

「え? あ、ああ……」

 僕達は激闘の真っ最中だった。

「チッ! 何やってんだよ」

 僕は名前も知らないクラスメイトに舌打ちをされる。

「ご、ごめん……」

「師匠、気にしなくていいですよ。点なら俺が取ってきます!」

 アオは僕にそう言うとボールを追いかけて行く。

 僕達が今何をしているのかと言うと、体育の授業でサッカーをしている。

 そして僕は絶賛孤立している。

 たまにアオが声をかけてくれるが、アオはこのクラスの中心で、運動神経も抜群で得点を取らないといけないので僕の所からすぐにいなくなる。

 僕は自陣のゴールの近くの隅っこによって、味方にも敵にも邪魔にもならない場所で立っている。

 さっきのように、たまにボールが来ることがある。

 たまに来られても迷惑でしかない。

 もちろんサッカーなんてまともにやったことのない僕がどうこうできる訳はなく、無情にもサッカーボールが僕の横を通り過ぎていく。

 舌打ちをされても仕方ないとは思うが、やられたら傷つくので出来れば止めていただきたい。

 彼は世の中には自分が出来ることが出来ない人もいることを知ってもらいたいな……。

 もしここにチェンジワールドオンラインのモンスターが現れたら僕はそのモンスターを倒せるけど君は倒せないでしょ?

 あ、どっちにしろ武器が無いから僕も倒せないか。

 イキったこと言ってごめんなさい。

「おい! またそっち行ったぞ!」

 ボールだけが僕の方に転がってくる。

 もう舌打ちをされるのは嫌だからね。

 ここは全力でやらせてもらうよ!

 と言ってもやっぱりサッカーの技術はないので、取り合えずボールを思いっきり蹴ってみる。

「何処に蹴ってんだ!」

 しまった!

 相手のゴールの方に蹴ってみたけど、敵陣の中心にボールが行ってしまった。

 このままでは敵にボールを取られてしまう。

「いや、ナイスパスです」

 アオが駆け上がり僕が蹴飛ばしたボールを空中でトラップすると、敵を躱して、そのままボールをゴールに叩きこむ。

 かっこよすぎでしょ……。

 いいの?

 惚れちゃうよ?

「な……」

 僕に舌打ちをした男は狙っていたのかという目で僕を見る。

 いや……。

 全然狙ってないかね。

 アオが凄いだけだからね。

「師匠、ナイスパスでした」

「あ、ありがとう。それにしてもよく決めれたね。ナイスゴールだったよ」

「師匠のパスがよかったからですよ」

 さわやかな笑顔でアオは言う。

 アオはこういう気遣いもできる。

 もう一回言うけど……いいの? 惚れちゃうよ?

 

 結局アオのおかげで試合は勝つことが出来た。

 僕達は教室に戻り、体育館でバレーボールをやっていた女子たちも既に教室に戻ってきていた。

「フータ聞いたよー。大活躍だったみたいだね」

「それ何処情報?」

「アオが嬉しそうに言ってたよ。師匠の絶妙なパスのおかげで勝てたって。違うの?」

「うん。大幅に違うね」

「そうだったんだ……。アオはフータの事大好きだからしょうがないね……」

 しょうがなくないと思うけど……。

 レイクは分かってるみたいだからいいか。

「フータ」

 レイクが改まって僕の名前を呼ぶ。

「どうしたの?」

「買い物の件なんだけど……」

 買い物の件と聞いて僕の心臓がドキリと跳ねる。

 あれからよく考えてみたら、男女で2人きりで買い物って……デートということになるかもしれないと気付いた。

「う、うん。か、買い物の件ね」

「そう。今週の日曜日は空いてる?」

 日曜日は何も予定はなかったはずだ。

「空いてるよ」

「よかったー! だったら午前10時にオトガルシアの転送用ポータル前に集合ね!」

「10時にオトガルシア……分かったよ。必ず行く」

「絶対だよ」

「うん。絶対ね」

 レイクは満足したように僕から離れていく。

 この話は緊張するな……。


「師匠、顔が赤いですけど何かありました? 体調が悪いなら俺が保健室まで連れていきますよ!」

 アオはそう言うと、僕に背を向けて屈む。

 いや、この年でおんぶはないでしょ……。

「体調は悪くないからおんぶはしなくて大丈夫だよ。それより、アオ。レイクに何を言ったのか分かってる?」

「レイクにですか? 師匠のサッカーの様子を聞かれたのでありのままを話しました。間違ったことは何も言ってないですよ」

 アオは自信満々だ。

「間違いだらけだったよ? そもそも僕はあの試合で1回も活躍してないからね」

「そんなことないです。師匠のあのパスがなければ絶対に負けていました」

 アオ、君はそう言うが、今日君が何点取ったか知っているかい?

 君は今日1人で5点取って、5対0で試合に勝っているんだよ。

 まあ、それでも僕のおかげと言うのがアオらしいのかな?

 相変わらずアオのスペックの高さに驚かされる。

 もしかしてこの子には出来ないことがないのかもしれないな……。

 サッカーが出来るのもちょっとだけ羨ましいと思ってしまう僕なのであった。

 羨ましいと思ったのは本当にちょっとだけだからね!

読んでいただきありがとうございます!


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