１６１話 エルグランデでピンチ！
フータ達が白竜を倒した頃、エルグランデで先生たちは……。
緑竜が出現させた森が淡く光り、私の作り出した暗闇を照らす。
《死神化》を使い、始めに緑竜の攻撃を受けてしまったので私の残りHPは僅か。
後１撃でも攻撃を受ければゲームオーバーですね。
面白い。
このギリギリよ状況で、さっきから自分の口角があがるのを抑えられない。
「チェイス君、後ろの状況は？」
「はい。門を目指して来る大量のトカゲは『狩人』とその他のプレイヤーがハントさんの指示で守っていますが、これ以上数が増えると対処できない可能性があります」
「分かりました。でしたら早く緑竜を倒さなくてはいけませんね。先程、フータ君が白竜を倒したという連絡も入りましたし、私達もがんばりましょうか」
「アオ君はグラーシに着けたでしょうか？」
「べリアちゃんが一緒です。心配しないでください。私達はまず自分たちの心配をしましょう。あの緑竜をどうやって倒すか……」
「シュウ様の言う通りです」
チェイス君は丁寧に頭を下げると緑竜と向き合う。
さてどうやって倒しましょうか。
基本的にはフータ君と同じ《植物操作》による攻撃がメインです。
それに加え緑竜自体の攻撃と２匹の鳥が空から魔法を放ちます。
２匹の鳥は１匹が黄色の鳥で雷の魔法を使い、もう１匹が緑色の鳥で風の魔法を使う。
「チェイス君、あの２匹の鳥を任せてもいいですか？ 私は緑竜に集中します」
「分かりました。鳥は私がどうにかします。ですがシュウ様はどうやってあの緑竜を倒すつもりなのですか？」
「そうですねー、取り敢えずは、当たって砕けないようにですかね。どうにかしてみます。……来ますよ」
黄色の鳥から雷がチェイス君に、緑色の鳥から風の刃が私に飛んできます。
私達はそれぞれ避けるとチェイス君は蝙蝠のような翼を出し鳥に、私は緑竜と向かい合います。
チェイス君が翼を動かし飛び上がると、緑竜が《植物操作》でチェイス君を空から引きずり下ろそうと魔法の木を伸ばします。
しかし、私がそれをさせません。
私はチェイス君に伸びる木を鎌で切ります。
「あなたの相手は私ですよ。無視しないでください」
緑竜の方も私を見て、目を離しません。
「ギャォォォォォォォォ！」
緑竜の雄叫びと同時に無数の木が私に向かって伸びてきます。
この伸びてくる木に当たっても終わり、掠っても終わり……。
やはり楽しくなりそうです！
緑竜に近づくためにはこの日から森を抜けなくてはいけませんね。
今からはチェイス君の支援もありません。
ですが、鳥からの魔法も来ないので正真正銘の一対一になります。
私と緑竜のどちらが強いか。
私は走り出して緑竜に接近を試みます。
木が私を追って伸びて来ますが、切れそうなものは切り、危ないものは避けて、何とか当たる事なく緑竜に近づくことに成功します。
私は緑竜の首を狙い鎌を振ると、緑竜が爪で防ぎ、甲高い金属音が響きます。
防がれたので地面の着地と同時に緑竜の後ろに回り込む。
次は右足を狙うと、ここは見事当たりました。
緑竜の皮膚が切れます。
次は左足です。
緑竜の皮膚が切れます。
左足は右足よりも刃が深く入ったので、緑竜は左足のバランスを崩して膝をつきます。
私はそれを見逃さず、緑竜の左腕を切り落としました。
「ギャォォォォォォォォ！」
元が4足歩行だった緑竜は叫び声を上げると、地面に座った状態になります。
このまま終わらせてもらいます！
今度こそ首を切り落とすため首に飛びつくと、緑竜は翼を大きくばたつかせて突風を起こします。
私は突風を受けて飛ばされてしまい、空を飛ぶことになりました。
このままどこかの木に当たっただけでもHPが無くなり死んでしまいます。
飛ばされて続ける空中でどうにか体制を直したいが、風の勢いが強くどうにもなりません。
まずいですね。
このままではすぐに木にぶつかってしまいます。
私の背中に木が迫ってきます。
「何やってんだお前は！」
私の体は何者かにキャッチされました。
「あたいが戻ってきて早々何でこんなピンチになってんだよ！」
「ベリアちゃん戻って来たのですね」
私をキャッチしたのはベリアちゃんでした。
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