154話 ハーマリで白蛇!
無心を貫く僕と僕の背中に張り付いたままのレイクを乗せてあんこは進む。
後少しだ。
もうすぐ白竜に辿り着くと言うところで白色の壁が現れる。
「壁……?」
ハーマリの平原にこんな物無かった筈だけど……。
見たことない物を見て僕は無心状態から引き戻される。
「壁ではありません! 伏せてください!」
あんこが叫ぶことで僕とレイクは頭を下げる。
すると頭の上で大きな口が閉じる。
「え?」
咄嗟のことで何が起こったのか理解できない。
僕達の頭の上で閉じた口が再び広がり、暗闇が僕達を飲み込もうと近づいて来る。
「掴まってください!」
あんこは横に大きく飛び迫る暗闇を回避する。
あんこが回避したことによって、僕達は大きな口の正体を知る。
白い蛇だ。
それも胴体が壁に見えるほど大きな白蛇が2匹いる。
2匹の白蛇の鋭い目が僕達を睨み付ける。
早く白竜の元に行きたいが、やる気満々の目を見る限り、この2匹が僕達を見逃してはくれなさそうだ。
僕達はあんこから降りて戦闘態勢を取る。
「レイク、あんこ、クロ、まずはこの2匹の白蛇を倒すよ!」
「はい!」
「了解ッス!」
「う、うん……」
レイクが小さめの声だが、レイクのことだ……戦闘になれば問題ないだろう。
まず行動を起こしたのは白蛇の方だ。
太い尻尾で僕達を薙ぎ払おうとする。
あんこはジャンプで、クロは空を飛び、僕とレイクは大きく後ろに飛ぶことで白蛇の攻撃を回避する。
1匹目の白蛇の攻撃と同時に2匹目の白蛇も尻尾で僕達を攻撃するがなんとか回避する。
次は僕達の番だ!
と言いたいけど白蛇の攻撃が止まらない。
尻尾と噛み付きで僕達を攻撃し続ける。
1匹目の攻撃が終われば2匹目の攻撃が来て、2匹目の攻撃が終われば1匹目の攻撃が来る。
僕達は毎回なんとか躱せているが、このままでは当たるのは時間の問題だろう。
唯一空を飛べるクロだけが悠々と白蛇の攻撃を躱している。
何か手を撃たなくては。
「《森の目覚め》《植物操作》」
取り合えず、いつものように木の根を白蛇に突き刺してみる。
固い……。
木の根は刺さってはいるのだが、深く刺さっていない。
恐らくこの攻撃は効いていないだろう。
その証拠に刺さった木の根など気にせずに白蛇は僕達を攻撃し続けている。
これがダメなら、別の攻撃をするまでだ!
「クロ、1匹任せた! 目を重点的に攻撃してくれ! あんことレイクは2匹目をお願い! 僕の攻撃が気づかれないように注意を引いておいて!」
「目ッスね! 任されたッス!」
「分かりました」
「注意を引いておけばいいんだね!」
クロは白蛇の頭の方へ行くと、白蛇の鋭い目を突く。
白蛇は鬱陶しそうにクロをどかそうと攻撃するが、クロは楽々と躱し、再び白蛇の目を突き始める。
よし、こっちの蛇はクロに気を取られているな。
レイク達の方は……。
あんこが白蛇の周りをくるくる回り、レイクが白蛇の攻撃をすれすれで躱すことによって、白蛇がレイクとあんこに気を取られていた。
よし、こっちもレイクとあんこに気を取られて僕の方なんて気にもしてない。
「《森の目覚め》《植物操作》」
僕は僕が認識できて、白蛇には気付かれないよう遠くに気を生やして地面の下で木の根を伸ばしていき、白蛇の下まで伸ばしていく。
木の根が丁度白蛇の下に辿り着いた。
白蛇たちは気を取られて気付く気配はない。
「今だ! 巻き付け!」
大量の木の根が地面の中から現れ、白蛇に巻き付く。
大量の木の根は2匹の白蛇に巻き付き綺麗な白い肌が見えなくなるほど、余すところなく巻き付く。
「《ドレイン》」
僕は《ドレイン》で白蛇のHPを奪う。
白蛇が抜け出そうと動きたがっているのは分かるが、僕の木の根がそれをさせない。
ギッチリと巻き付き身動き一つできない状態だ。
「嫌な思い出がよぎるッス……」
クロが2匹の白蛇を見て微妙な顔をする。
やがて木の根の隙間から光りが漏れる。
「《解除》」
解除してみると木の根の中には白蛇の姿はなく、倒したことを確認する。
これで後は白竜だけだ!
ぼくは悠然と佇む白竜を見る。
白竜までもうすぐだ!
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