153話 ハーマリで開き直る!
ど、ど、ど、ど、どうしよう!
私のバカ!
大胆にもほどがあるよ!
クロと白竜のブレス攻撃が衝突して爆発が起こった後、私は一番に飛び出してモンスター達の中に突っ込んで行った。
フータも追って来てくれる確信があったので、私は1人早く飛び出した。
モンスターの群れの中で戦っているとあんこちゃんに乗ったフータが現れ、私はフータと一緒に白竜の所へ行くために走り続けているあんこちゃんに飛び乗る。
飛び乗ってから少しは大丈夫だったが、モンスターに囲まれた後、フータがモンスター達を一掃し、あんこちゃんがもう1段階加速した。
その後が問題だ。
あんこちゃんにちゃんと掴まってと言われて、思わずフータの背中があったから抱き着いてしまった。
フータに掴まってとは言われてないよ!
思い切って抱き着いてみたはいいけど……恥ずかしくて顔を上げられない。
心臓が今にも爆発しそうだ。
しかも今はこんなことしてる場合じゃないのに!
これから白竜を倒しに行こうって時に本当に何やってるんだろう私……。
少し顔を上げるととフータの背中が目の前にある。
フータの背中に顔をくっつける。
今ならフータの匂いも嗅げそうだ。
な、何考えるの私!?
ま、まあ、ゲームだからプレイヤーから匂いはしないから意味ないけどね……。
うん、やっぱりしなかった。
フータはこの状況どう思ってるかな?
迷惑になってないかな?
鬱陶しいと思ってなかな?
邪魔だと思ってないかな?
私の頭の中でフータにどう思われてるかという考えがグルグルとして目が回りそうだ。
自然と悪い方向に考えてしまう。
そうだ!
フータの顔を見ればどう思ってるのか分かるはずだ!
嫌な顔をされてたら迷惑ってことで、笑顔だったら……これはどういうことになるのかな?
とにかく!
フータの顔を見るしかない!
私は恐る恐る顔を上げてフータの顔を見る。
これは……真顔!?
まさかの真顔!?
真顔って、どういうことなの!
嫌な顔でも笑顔でもない真顔。
これはどういうことなのだろうか?
フータがどう思っているのかますます分からなくなってしまった。
そもそもフータは私の事どう思ってるのかな?
フータに好きな人はいるのかな?
最近フータの周りには女の子が多い。
パレットにニーヤさんにべリアちゃんにきーこちゃんにあんこちゃんとゆきちゃん。
可愛い子が多すぎるよ!
もしいたら……。
良くない!
この考えは良くないよ!
もしいたらなんて考え始めたらどんどんまた悪い方に考えてしまう。
別に私の事を好きでなくてもいい。
ただ絶対にフータを振り向かせたい。
この『防衛戦』が終わったら思い切って告白……。
はハードルが高いから買い物に誘ってみよう。
もちろん2人きりでだよ。
現実世界でもゲーム世界でもどっちでもいい。
フータならやっぱりゲームの中の方がいいのかな?
フータと2人きりで楽しい時間を過ごしたい。
断られたら1ヶ月は落ち込むけど、ここで1歩踏み出さないと、いつまでたってもこの関係は変わらない。
頑張れレイク!
私ならできる!
フータを誘える!
その為には街を守らないと!
白竜さん全力で行かせてもらうよ。
なんて言ったって私にはフータとの買い物がかかっているからね!
話が脱線し過ぎてしまったので、話を戻してフータの真顔について考えてみよう。
そもそもあの表情はどういう顔なんだろう?
私が抱き着いているのが鬱陶しくて邪魔だったら、嫌な顔をして無理矢理振り解いているはずだ。
フータの性格だから無理やり振り解かなくても困ったような顔で私を見るだろう。
無理やり振り解いかないし、困ったような顔をしていないってことは、このままでいいってことなのかな?
そうだよ!
このままでいいってことだよね!
もうこうなったっら楽しんだもの勝ちだ!
私はもうしばらくこの状況を楽しんでいよう。
多分、後でこのことを思い出して、凄く後悔すると思うけど、後の事は後の私に任せてしまおう。
私は更にフータにぴったりとくっつく。
やっぱりフータの匂いはしないや。
でも、背中越しでもぬくもりは感じる。
フータの背中はとても温かかった。
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