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152話 ハーマリで緊張!

「青竜の初撃でグラーシにいるプレイヤーが半壊した! 僕の分身もやられて状況が掴めない!」

 ネロから伝えられた情報でハーマリを守るプレイヤー達は戦慄する。

 パレット達のいるグラーシが半壊した。

 パレットは……。

「多分大丈夫だろうな」

「そうだね。パレットは大丈夫だと思うよ」

「2人ともどうしてそんなに安心してるの!? パレットのいるグラーシが大変なことになってるよ?」

「他のプレイヤーはともかくパレットだからねー」

「そうだねー。パレットだからねー」

 パレットなら大丈夫だというのが僕達の見解だ。

 パレットはとにかくしぶとい。

 何があろうと、何が起ころうと、パレットが竜を倒すと言ったのだから、パレットは竜を倒すまで死ぬことは絶対にない。

 まだ短い付き合いだけど分かる。

 彼女はそういう人間だ。

 パレットはわがままで、すぐ嘘は付くし、負けず嫌いだけど、一度やると言ったことは必ずやる。

 それを僕もレイクも分かってるから慌てたりしない。

 まあ、グラーシがピンチなのは変わらないのでそこはパレットに頑張ってもらうほかないんだけどね。

 アオは心配してそうだな。

 結局いつもパレットの事を思って行動してるのはアオだから、今もパレットを助けに行くためにグラーシに向かって走ってたりして……。

「エルグランデでアオがパレットを助けに行くことになったよ。ついでに僕の分身も連れて行ってもらったからアオがグラーシに着けば状況が分かるようになるよ」

 やっぱり!

 アオが向かったなら安心だ。

 アオが向かったということはエルグランデには先生が残ったということで、先生とチェイスさんとべリアちゃんがいればエルグランデも安心だね。

 だったら僕は白竜に集中しないと!

 皆も頑張ってるのに僕だけ負けたなんて言えないからね!

「兄貴来るッス!」

 クロが僕に報告する。

 クロには『防衛戦』開始前に、ある指示をしておいた。

 それは竜がブレス攻撃の体制になったら僕に知らせて、クロのブレスで相殺して欲しいというものだ。

「クロ頼んだ!」

「頼まれたッス!」

 白竜が遠くの方で口を大きく開け白い光を集めている。

 こちらもクロが大きな姿に戻り、口を大きく開け黒い光を集めている。

 発射は両者同時。

 モンスターの大群とプレイヤー達の中間で白い光線と黒い光線がぶつかり合い爆発を引き起こす。

 これでクロの撃てるブレスはあと2回。

 もったいないがここでプレイヤーの数を減らされるのはこの先の戦いが厳しくなってしまう。

 だから今のブレスの使い方は間違っていないはずだ。

「お先にー!」

 爆発を見届けていち早くレイクがこれから戦場になる誰もいない平原へ飛び出す。

 レイクが飛び出したのを見て他のプレイヤーもレイクに続き戦場へ出ていく。

「ゆき、きーこ、門は頼んだよ」

「任せときなさい」

「キュー!」

「きーこ、くれぐれも無理はしないようにね」

「キュー!」

 きーこが元気よく手を上げて返事をしてくれる。

「よし! 僕も行ってくる。あんこ」

「はい! 《巨大化》」

「疲れるかもしれないけど『防衛戦』の間だけ頑張ってくれ」

「分かっています。私も自分の街を壊されたくはありませんので」

 僕は巨大化したあんこに乗って白竜の元へ急ぐ。

 剣を抜き道中ピンチになっているプレイヤーを助けながら白竜の方へ向かっていると、先に飛び出したレイクを発見した。

「レイク乗って!」

「あんこちゃんごめん!」

 そう言いながらレイクはあんこに飛び乗る。

「加速します!」

 あんこが一段階加速し、戦場を駆け抜ける。

 モンスターとプレイヤーの上を飛び越え一直線に白竜に向かう。

 流石に一筋縄と行かず、モンスター達に足止めされてしまう。

 白竜がいるのはモンスターの大群の最後尾。

 僕達がいるのはモンスターの大群の中盤辺りで、中に入れば入るほどプレイヤーがいなくなるので僕達はモンスター達に囲まれてしまう。

「《森の目覚め・攻》」

 《森の目覚め・攻》で何もない平原に木を生やし、自動攻撃でモンスターを一掃する。

「行こう!」

「はい! レイクさんちゃんと掴まっていてください!」

「は、はい!」

 レイクはぎこちなくあんこに返事をすると、僕の腰に手を回し、僕の背中にぴったりとくっついて、抱きつくように掴まる。

 レ、レイクさん!?

 僕にちゃんと掴まるのではなくて、あんこにちゃんと掴まるのでは!?

 やばい……。

 僕の人生の経験上、ここまで女の子に近づかれる事は数えるほどしかない。

 数えるほどと言っても、全て母親か妹なのだが。

 この状況でレイクのことを意識してしまう。

 今まで感じたことのない緊張感。

 初対面の人と会う時の緊張とはまた違う緊張が僕を襲う。

 この気持ちは何なんだ? 

 さっきからドキドキして、今にも心臓が爆発しそうだ。

 緊張を通り越して、もはやレイクのことしか考えられない。

 僕の頭の中は白竜どころの騒ぎではなくなっていた。

 この動揺を顔には絶対に出さないようにしないと!  

 平静……。

 平静を装うんだ……。

 僕よ落ち着けー。

 ってこの状況でそんな事出来るかー!

 ど、ど、ど、ど、ど、ど、ど、どうすればいいのー!


読んでいただきありがとうございます!

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