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151話 グラーシの開戦!

 ギルドハウスで最終確認を終えた私は分身のネロ後輩とグラーシに向かいます。

「パレット先輩はどうして『フォレスト』に入ったの?」

 パレット先輩……。

 何度聞いてもいい響きですね。

 無知なネロ後輩に、優しいパレット先輩が、このギルドに入った経緯を教えてあげましょう。

「誘拐されて『フォレスト』に入ることになりました」

「誘拐?『フォレスト』の皆がそんなことするわけ……」

「私を誘拐したのはレイクさんです」

「あ……」

 ネロ後輩が否定しない辺り、レイクさんの普段の行動が窺えますね。

「誘拐されてから、なんやかんやあって『フォレスト』に入ることになりました」

「なんやかんやって……結構省いたね……」

 本来の予定では私が弱小ギルドの超新星として、活躍して皆からチヤホヤされるはずでした。 

 ですがこんなギルドに入ったせいで全くチヤホヤされません!

 まあ、チヤホヤされませんが居心地の良いギルドではあるので、少々私の強さが霞むのは今の所我慢してあげましょう。

 

 グラーシに着くと宿敵ニーヤさんを見つけました。

 今日の『防衛戦』私には負けられないものが多いです。

 竜を倒して『ドラゴンスレイヤー』という二つ名を付けてもらわないといけないですし、ニーヤさんにはこの前のモンスターを誰だけ倒せるかという勝負のリベンジをしなくてはなりません。

 他のその辺にいるプレイヤーにモンスターの討伐数で負けるのはもってのほかです。

 私は今日、誰よりもモンスターを倒し竜も倒さなくてはいけません。 

 全く忙しい1日になりそうです。

 

 グラーシにある砂浜。

 ここにグラーシを守るプレイヤーが集まっていて、登れば注目されそうな台を見つけました。

 これは……。 

 登るしかありませんね。

 私は誰かが設置したであろう台の上に立ちます。

 ここにいるプレイヤー皆が私を見ました。

 注目されています。

 悪くないですね。

 アオさんがいたら登るなと怒られて、拳骨されて、引きずり降ろされるのでしょうけど、今アオさんはいません。

 つまり私の独壇場。

 私を邪魔するものは何もありません。

 このまましばらく注目を浴びておきましょう。

 注目されて気分良くなっていた時、頭にいつもの拳骨が落とされる。

 アオさん!?

 びっくりして拳骨の主を見るとアオさんではなくニーヤさんでした。

 ニーヤさんは笑顔だけど怒っているのが分かります。

「そこはマホーニカさんが今から演説するからいい加減どきましょうか?」

「ごめんねー。ちょっとだけどいてくれると嬉しいわー」

「仕方ないですね。もう少ししたら交代してあげます」

「今すぐよ!」

 もう1発の拳骨の後、台上かた引きずり降ろされてしまいました。

 しばらくニーヤさんに引きずられ、私が台から離れると、マホーニカさんが話し始めました。

「今日ここには魔法使いばかりを集めさせてもらったわー。私の作戦はこうよー。竜が現れたら皆でとにかく遠距離から魔法を撃ちこむ。これで竜をノックアウトさせる作戦よー。簡単でしょ?」

「そんな上手くいくのかな?」

 ネロ後輩の分身が不安そうに呟きます。

 そもそも私はこの作戦が成功されては『ドラゴンスレイヤー』の二つ名を手に入れることが出来ません。

 どうしましょう。

「余計なことをしたらダメよ」

 余計なことをするつもりはありませんがニーヤさんに釘を刺されてしまいました。

「どうしても竜を倒したいというのならここが終わって他の街でやりなさい。助っ人という立場の方が、目立ってかっこいいと思うわよ」

 その意見は一理あります。

 ピンチの街にさっそうと現れる私。

 誰もが苦戦を強いられている竜をあっさり倒して、ヒーローになります。

 完璧な未来が見えてきました。

 そうなればグラーシを襲撃する竜もモンスターも早く倒して、他の街に行きましょう。


 時刻は午前10時ちょっと前。

 私は黄色でカエルを描き待機する。

 水辺で戦うのでいつもの熊ではなくカエルにしてみました。

「ゲコッ!」


 時刻が10時ちょうどになると目の前にある海に変化が起こ来ました。

 海面が上昇し、壁のようになった海が、私達の方に向かってきます。

 あれは巨大な津波です。

 津波の中に巨大な青竜と小さいモンスターの大群を確認しました。

「みんなー予定通りに行きましょー。あの竜に向かって魔法を放ち続けるのよー」

 マホーニカさんの言葉でプレイヤーの皆さんは津波から逃げることなく魔法を放ち続けます。

 ですが、青竜が止まる気配も攻撃が効いている気配もありません。

 じきに津波が私達のいる砂浜に到着し全てを飲み込んでいきます。

 飲み込まれたプレイヤー達は、中にいるモンスターにとどめを刺されて、グラーシを守るプレイヤーの数がどんどん減っていきます。

 ここはいったん隠れた方が良さそうですね。

 私は事前に描いていた黄色のカエルの口を広げ中に入って身を隠します。

 津波に飲まれれば、カエルもすぐに消えるでしょうが、私の体に直撃するよりはましなはずです。

 私のカエルは津波に呑まれると消えてしまい、私は海の中に放り出されてしまいました。

 ネロ後輩とニーヤさんは……。

 私は海中で目を凝らし二人の姿を探します。

 ネロ後輩は……見当たりません。

 分身ですから消えてしまったのかもしてないです。

 ニーヤさんは魔法で水の壁を作りニーヤさんの周りだけ水がありません。

 私もあそこに入れてもらいましょう。

 私はニーヤさんが作っていた壁の内側へ入ると波が引くのを待ちます。

 しばらくして波が引くと、さっきまであれだけいたプレイヤー達は見る影もなく半分程でしょうか……。

 数が目に見えて減っていました。

 まさしく半壊といっていい状況でした。 

 この状況ピンチですね。

 しかし私にとってはチャンスです。

 ピンチを救う英雄。

 ここで私が龍を倒せばヒーローに違いありません。

読んでいただきありがとうございます!

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