137話 追試を何とかしたい!
私は今、先生に放課後呼び出されて、逃げ出そうとしましたが失敗したので先生の後ろに付いて職員室へ向かっています。
どうにか逃げ出せないものですかね……?
この隙の無い先生からなんとか逃げ出したいです。
何故逃げ出したいかと言うと、職員室へ行ったが最後、私は必ず怒られるからです。
私のテストの点数は散々で、ほとんどが赤点でした。
どれもこれも全てアオさんとレイクさんのせいです。
私はギルドハウスで、だらだあしていたかっただけなのに、ナメクー島に連れていかれ、攻略できると楽しくなちゃって、それから毎日ログインしてしまいました。
なので私は悪くありません。
全部あの2人が悪いのです。
しかし、この先生にこの言い訳は通用しないでしょう。
ならば逃げるのみです!
私は先生が前しか見ていないことを確認すると、振り返って足音が立たないようにゆっくりと歩き出す。
「どこに行こうとしてるのですか熊野さん?そちらは職員室と逆の方向ですよ」
この人は後ろにも目がついているのですか!?
「ト、トイレにでも行ってこようかなと思いました……。でも、よく考えたら行きたくなかったのでもう大丈夫です」
「そうですか。トイレなら行って来てもいいですよ。話は長くなるので」
長くなる!?
「どのくらい長くなりますか……?」
「そうですねー。森絵さん次第と言っておきましょうか」
私……次第……。
でしたら問題ありませんね!
私次第で早く終わるなら、早く終わるに決まっています。
別に慌てる必要なんてなかったですね。
早く終わらせてしまいましょう。
そして帰ってゲームです。
私が気分よく職員室までついていくと先生はため息をつきました。
なぜでしょうか?
先生は自分の席に腰掛けると私に聞きます。
「一応聞きますが、何で呼び出されたかは分かりますか?」
「いいえ、分かりません」
呼び出された理由を知っていますが、ここはあえてとぼけておきましょう。
とぼけ続けて早く帰る作戦です。
「とぼけてもいいですが、その分帰る時間が伸びますよ?」
「赤点を沢山取ったからです」
ここは素直に言うのが一番早いという結論に至りました。
「その通りです。熊野さんは追試の日付をしっていますか?」
「知りません」
「まだ発表されていないので、知らないのは当然です。追試の日付は来週の土曜日です」
「来週の土曜日……」
何かとても大事な用事が入っていた気がします。
土曜日で用事が入っていると言えば2週間後の土曜日にチェンジワールドオンラインで『防衛戦』のイベントがありますが……。
来週……。
来週!?
そうでした。
イベントの通知があったのが先週で、時間が経っているので『防衛戦』が行われるのは来週の土曜日ではありませんか!
ここは正直に言うしかないですね。
「私その日、用事があるので追試は受けられません」
「それで追試が免除されると思っているのですか?」
「ダメなんですか!?」
「ダメです」
「どうしましょう。困りました」
「熊野さんの成績は本来なら上位の方です。何があったのか分かりませんが、テストの点数がこんなにもひどかったのは、今回だけなので他の先生に追試を免除してもらえるように頼みに行きましょうか」
「免除……できますか?」
「出来るとは言いません。しかし、なんとかしてもらいましょう。私も一緒に頼むので」
「よろしくお願いします」
それから私と先生は他の先生に頭を下げてもらいなんとか追試免除と大量の課題を手に入れました。
渋る先生もいましたが、高橋先生がその先生の耳元で何かを言うと途端に態度を変え、全ての先生が私の追試免除を承諾してくれました。
私は高橋先生が何を言ったのか知りませんし、何も見ていません。
このことは口外しないと誓います。
口外したら次は私の身が危険になると思うからです。
「熊野さんしかっりやるんですよ。これをしっかりやらなかったら、私が熊野さんを叱らなくてはならないので」
「は、はい!」
笑顔なのに、先程のこともあって怖い先生に私は返事をすることしかできません。
では、私は帰るとしましょう。
時間が掛かってしまいましたね。
でも、いいとしましょう。
追試免除は大きな収穫です。
「先生帰ります」
「はい。気を付けて帰るんですよ?」
「はい」
私は先生と別れ職員室の出口へ向かう。
「あっ、英語の清水先生、少し頼みがあるのですがいいですかね?」
高橋先生が英語担当の清水先生に話しかける。
「頼みというのは?」
「来週の追試の件なんですけど、追試者は英語の赤点を取った人しかいないので、当日の追試監督を変わってもらえませんか?急用が入ってしまったので……」
「英語だけですか……。仕方ありませんね。変わりましょう。生徒が赤点を取るのは私にも責任がありますから」
「ありがとうございます」
先生も来週の土曜日に用事があるのですね。
私と一緒ではありませんか。
読んでいただきありがとうございます!




