132話 ユウ対パレット!
僕は使い魔達とユウの背中を追う。
ユウはモンスターを切り伏せながらとにかく前へ進む。
何でこの人こんなに速いの!
モンスターを倒しながらなのに何もしていな僕と同じスピードで前へ進んでいく。
すでにパレットとニーヤさんが遅れ気味だ。
「おい!ユウ、少しスピードを考えろ。ニーヤさんとパレットが遅れてる」
「大丈夫だ。もうすぐフータに戦ってもらうからその時に追いつけるはずだ」
なるほどな。
ユウもちゃんと考えてるってわけか……。
「っておい!それだと僕が戦い始めたら速度が落ちるみたいじゃないか!」
「その通りだけど?よし、この辺からフータが戦え。今の俺の動きを真似してみろ」
真似してみろって言ったって何をどうすればいいんだ?
ユウの動きを思い出してみる。
まず走りながらモンスターのを切ってみる。
「違う!ただ漠然と切ればいいってものじゃねえ!相手の動きをしっかり見ろ。どこが空いているのか。どこの防御が手薄なのか。一瞬で情報を読み取って判断しろ。今すぐには無理だがただ漠然とやっているよりはましだ」
情報を読み取れか……。
そいういうのはレイクが上手いな。
レイクはいつも敵の開いているところに拳を打ち込んでいる。
僕はレイクの動きを思い出してみる。
丁度モンスターが僕に襲い掛かってくる。
襲い掛かってきたのは大きな棍棒を持ったオークだ。
僕はオークの動きをよく見る。
オークが棍棒を振り下ろしたところを躱し、頭の位置が下がったので首を切り落とす。
上手くいった……。
「よし!次!」
次!?
意外とユウはスパルタだ。
僕がモンスターを倒しているとニーヤさんとパレットが僕達に追いついた。
パレット達が追いついてくれて嬉しいような悲しいような……。
ユウに負けた気分だ。
ユウはそれを見越してか僕を見てニヤリと笑っている。
こいつ!?
その勝ったみたいな顔やめろ!
「お待たせしました。フータさん待ってくれてありがとうございます」
「あ……うん……」
別に待っていたわけではないんだけどね……。
だからその勝ったみたいな顔やめろ!
再びニヤニヤしているユウを睨む。
「ここら辺はプレイヤーも少ないし、俺達はこの辺のモンスターを一掃するぞ」
ユウの言葉で僕は周りを見る。
確かにここにはプレイヤーの数が少ない。
モンスターだらけだ。
ここまで一直線で来たけどここにプレイヤーが少ないのは全く気が付かなかった。
一直線で来たということはユウは始めからここを目指していてプレイヤーの数が少ないということを見越してここに来たということだ。
モンスターとプレイヤーが入り混じって誰がどこにいるのかも分からない状況でよくここまで見えたな……。
観察ってこういう所までやらないといけないのか……。
やっぱりユウは凄い奴だ。
「俺はフータに付きながらある程度数を減らす予定だけどお前らはどうする?」
「私も適当に魔法を撃ってモンスターの数を減らすわ。巻き添えにしたらごめんね」
「え!?」
「避けるから問題ない」
いやいや、問題あるでしょ。
見方は攻撃したらダメだよね?
「パレットとやらはどうする」
「ユウさん。私は2位のあなたと戦いに来ました。私と戦ってください」
今!?
今は流石のユウも断るんじゃ……。
「ほー。面白い。いいぞ。戦おう」
いいの!?
「ありがとうございます」
「面白そうね。私も見てからモンスターを倒しに行くわ」
ニーヤさんも止めないんだ!?
「でも殺すのは無しだ。今プレイヤー側の戦力が減るのは困るからな。開始はフータが次のモンスターを倒してそのモンスターが光になって消えた瞬間だ。寸止めにしてやるから安心しろ」
「私もHPは半分残してあげるので安心して下さい」
二人の視線が僕に集まる。
次のモンスターってまだ戦ってもないんだけど……。
まあ、モンスターはそこら中にいるから困らないけどね。
ユウは剣を抜き、パレットは絵を描き始めている。
「パレット……それはありなの……?」
僕は呟くように言う。
「これは準備です。ユウさんが剣を抜いて準備するよに、私は絵を描いて準備します」
「俺は構わないぜ」
ユウは自信満々に言う。
そうですか……。
双方が納得してることなら僕が口を出すことはないです。
さて、二人が待っているので僕も早くモンスターを倒すとしますか。
僕は近くにいたスケルトンを一振りで倒す。
パレットは青色の熊を完成させて準備万端だ。
あとはこのスケルトンが光になって消えるのを待つだけだ。
そういえばアオがパレットの魔法について言ってたな。
青色は何だっけ?
そうだ!
スピードだ。
速さ特化の熊か……。
僕の倒したスケルトンが光始める。
そして消えた。
この瞬間にユウとパレットの熊が同時に動き出して、勝負がつく。
「負けました……」
ユウの剣がパレットの首を捉え寸前で止めている。
勝負は一瞬だった。
パレットの青色の熊もすごい速さだったがユウはその速さを利用してほとんど剣を当てるだけで熊が倒れ、そのままパレットの首を取りに行ったという感じだ。
「さあ、モンスター狩りだ」
ユウはパレットの首元にあった剣を次はモンスターに向ける。
負けたパレットはしばらく呆然としていた。
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