127話 霧の中の街!
段々と霧が薄くなっていき視界もだいぶ良くなった。
遠くの方には2つの緑色の光が見える。
その光は太陽や松明のような火の光ではなく、どちらかと言うとアオの《魔弓術・氷》のような神秘的なぼんやりとした光だ。
僕達はその光の方へ歩いて行くと植物の蔓で出来た門が見える。
光は門に取り付けられているクリスタルが緑色に光っているもので、とても綺麗だ。
門にはエルフの街『エルカターナ』と書いてあった。
僕達が門をくぐると霧がさらに薄くなり全体が見えるようになった。
「わぁー……綺麗……」
隣にいるレイクが言葉を溢す様に言う。
実際、僕もあまりに綺麗な街並みに言葉を失っている。
いつも見ている森がミニチュアに見える程大きな木の森で、木の上にはお店や家が建ててある。
移動できるように木と木の間にはつり橋が掛けられていて、視界の悪い霧の中を大量の緑色のクリスタルがこの街を照らし、神秘的な雰囲気を出している。
アニメや漫画で見るファンタジー世界そのものだった。
やばい……やっちゃテンション上がる!
上がるんだけど……。
目の前に無視できないことがあるんだよなー。
フォレストの先生みたいな顔をした人と、執事服を着たチェイスさんみたいな顔をした人と、メイド服を着たべリアちゃんみたいな顔をした人が僕達の目の前にいるんだよな……。
「先生……?何でここにいるんですか?今日はログインできないと聞いていましたけど。それに、ログインできたとしても僕達よりも後から出発しましたよね。どうして僕達よりも早くここに着いているんですか?」
「フータ君ようやく来ましたか。仕事が思ったよりも早く終わったのでログインできるようになりました。私達もフータ君達を追ってのんびり来たつもりだったのですが少々早く着き過ぎてしまいました。せっかくですし、ここからは私達も同行してもいいですか?」
「もちろんいいですけど……。のんびりって……」
「のんびり一直線に来ました」
先生はいつものニコニコ顔で言う。
「そうですか……」
僕達はあんなに苦労したのに!
先生達らしいと言えばらしいか。
まあ、そんなことは置いといて……。
フォレストの皆で行けるならこんなに楽しいことはないからね!
「べリアちゃん!私はべリアちゃんが来てくれてすっごく嬉しいよ!」
レイクもいつものようにべリアちゃんに抱き着く。
「暑い!離れろ!」
と言う割にレイクにされるがままのべリアちゃんもいつも通りだ。
「早速、次の街を目指して行こう!って言いたいけど少しこの街を見てからにしない?」
正直この街を散策してみたくてしょうがない!
「賛成!私もこの街ゆっくり見てみたい!」
「俺もです。この街をゆっくり見たいです」
「じゃあ、1時間後にまたここに集合ね」
「分かった!」
「了解です!」
僕達は分かれて街を見に行く。
僕は使い魔たちとこの街を見ることにした。
僕はまずマップを開いてこの街の地図を確認する。
さっきまではマップがちゃんと機能してなかったけどこの街の中ではしっかりと機能している。
街の形は円形で地面には広場があり、家やお店などは全て木の上にある。
僕達は広場に行きこの街、エルカターナの転送用ポータルに登録していつでもエルカターナに来れるようにした。
それからは武具屋さんに行ったり道具屋を見たり、魔法屋を見たり、街の中心にある一番高い木に登れるように階段があったので登るとレイクとアオもいた。
木の上には霧は無く『チェンジワールドオンライン』の世界を一望する事が出来た。
下には霧の海が広がっていて遠くを見れば本物の青い海と『グラーシ』や『ハーマリ』の街が見える。
この景色は僕が今まで見てきた中で一番美しい景色だった。
丁度いい時間だったのでそのままレイクとアオと一緒に集合場所まで戻る。
戻るとすでに先生たちは待っていて次の街を目指して歩くことになった。
入ってきた門とは別の門から出て次の街を目指す。
次はどんな街が待ってるのかな?
エルカターナの街を見てから僕のテンションは上がりっぱなしだった。
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