126話 霧の中の壁!
僕とアオが一頻りはしゃいでいるとそこにクロが混ざり、きーこが混ざり、ゆきが混ざって、最後は何で僕達ははしゃいでいるのか分からない状態だったけど満足するまではしゃぎ続けた。
そろそろあんことレイクとパレットの目が冷え切ってきたので行動を開始する。
パレットが先頭を行くのかと思ったが何故かまた僕が先頭を歩いている。
「パレット?先頭を歩くんじゃなかったの?」
パレットはアオを盾にして自分の身を隠しながら歩いていた。
「先頭……。さっきまでの私はそんなわがままを言っていたのかもしれません。ですが今の私は心を入れ替えフータさんに全てを任せると決めたのです。頑張ってください、我らのリーダー」
「つまり?」
「トカゲに襲われるのが嫌なので私はアオさんを盾にしながら後ろを歩きます。襲われるならフータさん1人で襲われてください」
「全部洗いざらい言うね……」
「フータ、安心して。戦うときは一緒に戦ってあげるからね!」
そういう問題じゃないと思うけどな……。
「ありがとう。頼りにしてるよ」
それにパレット、最後尾を歩いてたら前は守れても後ろは守れないと思うよ。
「来ます!」
あんこがまた足音を察知したようだ。
「それって……」
パレットは恐る恐る振り向くとまた口を大きく開けたトカゲがパレットの頭めがけて飛び付いていた。
「よいしょー!」
レイクがすぐに動きトカゲの横顔を殴り飛ばす。
「今度は間に合ったよー」
レイクはパレットを見て二ッと笑う。
「一生ついていきます」
助けられたパレットはレイクにそう言うのだった。
並び順を変えて歩き出す。
先頭が僕なのは変わらないがアオがパレットの前を守り、レイクがパレットの後ろを守るという順番になった。
パレットそれだと前と後ろは守れても横は守れていないんじゃ……。
と、言いたいが言ったらまたトカゲが襲ってきそうなので言わないようにしよう。
頭の中でも言わないようにしないとな。
違うことを考えよう。
「アオは近距離でモンスターと戦えるようになったわけだけどこれからどうするの?」
「どうするというのは?」
「ほら、武器とか戦闘スタイルとか、変えられるようになったわけだけど変えたりするの?」
「俺は変えないですよ。フォレストには近距離で戦闘する人が多くいますし、俺は皆の背中を守らないといけないですから」
確かに。
フォレストはアオとパレット以外みんな近距離で戦う。
今までもアオに助けられたこと何回もあるからなー。
「分かったよ。これからも僕の背中はアオに任せるよ」
「はい!任せてください!」
しばらく歩くとあんことゆきが反応した。
「この先何かあります」
「モンスターがいる?」
「モンスターはいないわね。壁?かしら。話声が跳ね返って聞こえるわ」
あんことゆきの言う通りそのまま進むと岩の壁があった。
今まで何もない霧の中を闇雲に歩いていたので、とりあえず何かあった事にほっとする。
「壁があるね」
僕の言葉に皆がうんうんと首を縦に振る。
上を見ても霧でどこまで続いているのか分からない。
左右も同様でどこまで続いているのか分からない。
「クロ、上を見てきてもらえる?」
「了解ッス!」
クロを上に行かせて僕達はクロの帰りを待つ。
「兄貴ー、返ってきたッスよー!」
かなり上の方からクロの声が聞こえてきてクロが戻ってくる。
「上はどうだった?」
「霧がなかったッス!でも、物凄く高いので登るのは無理だと思うッス!あっちに行けば霧が薄いところがあったのであっちに行くといいと思うッス!」
クロは岩の壁を正面に右方向に指をさす。
「ありがとうクロ」
僕はクロの頭を撫でて、クロの指さした方向に歩き出す。
今思いついたけど初めからクロに上から見てもらってどこに進めばいいのか教えてもらえばよかったのでは?
まあ、今思い付いたことだし、過ぎたことを気にしてもしょうがないよね。
皆は気付いてるかもしれないけど誰も何も言わないので気付いてないと信じて僕は黙っておこう。
「始めからクロさんが空を飛んで上から見れば一直線でこの霧を抜ける事が出来たのではないですか?私がトカゲに襲われることも無かったのではないですか?」
パレット……気付いてしまったか……。
こうなったら仕方ない。
あれをするしかないな。
「……」
聞こえてないふりである。
「聞いてますか?」
「……」
聞こえない。
僕は今、何も聞こえないよー。
「無視しないでください」
「パレットこれは無視じゃないよ。聞こえてないふりだよ。フータも今気付いたんだろうね。私も今気付いたところだったよ。それとフータ、聞こえないふりはよくないよ」
レイクにはバレてるだと……。
「俺も今気付きました。今更、気付いたところで何も出来ないので言わなかったですけど……。それと師匠、聞こえないふりはよくないですよ。」
アオにもバレてる!?
「ごめん……。もう聞こえないふりをするのはやめるよ。」
もう秘技聞こえてないふりはやめるよ。
皆にも失礼だし、やっぱりよくないよね。
「何でもっと早く思い付かなかったんですか?」
「……」
「聞こえてないふりはやめてください」
そんなことを話しながら僕達は壁沿いを歩き続けた。
そして霧が薄くなるのを感じ始めた。
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