124話 霧の中の襲撃!
前も見えない霧の中を僕達は進む。
僕が先頭を歩きその後ろをアオとレイクとパレットがついてくる。
絶賛迷子中の僕は一人で悩んでいた。
この状況をどうするかという打開策と、迷子になっているということを打ち明けた後の言い訳を。
考えていると、そもそも根本がおかしいことに僕は気付いた。
そもそも何で僕が先頭なの!?
僕も気にせず歩いてたけど、よく考えたらおかしいよね?
誰も通ったことない道なのに僕が道を知っているわけないよね?
さっきからマップを開いてみても僕達の周り以外マップの中でも霧がかかったみたいに何も表示されない。
だから戻ろうにも戻れないし、僕達が先に進んでるのか戻っているのか関係のない方向に進んでるのかそれすらも分からない。
モンスターも出ないし、聞こえてくるのは僕達の足音だけ。
街へと続く道のヒントはどこにもない。
どうしたらいいんだ……。
僕が途方に暮れているとあんことゆきが僕の肩の上で立ち上がる。
あんことゆきは何かの音を聞くために目を閉じて耳を立てた。
「フータ様、何か来ます」
「来てるわね。多分2匹よ」
あんことゆきの忠告で僕達は戦闘の姿勢を取る。
相変わらず目の前は霧で見えないがドスドスという足音だけは僕達にも聞こえた。
明らかに人の足音ではないその音は一直線に僕達に近づいてきて、足音の正体を現す。
人間と同じくらいの大きさで灰色の体をしたトカゲだ。
トカゲといっても、トカゲのような形をしているだけで目がなく大きな口と鋭く生えそろった牙が特徴で細い舌を出してせわしなく動かしている。
姿が見えているのでトカゲたちは目の前だ。
「レイク!」
すぐに戦えるのは僕のと僕の使い魔達とレイクだ。
アオは……やっぱり固まっている。
パレットも能力的にすぐに攻撃することはできない。
大きな口を開いて飛び付いて来るトカゲ達から僕は剣で、レイクは上手く受け流してアオとパレットを守る。
あんこ達も僕から降りてトカゲと対峙する。
皆には悪いけど、ここは剣の練習のためにもスキルは使わずに戦おう。
僕とレイクに初撃を防がれたトカゲ達は後退して霧の中に隠れた。
「兄貴、ここは我に任せるッス!」
僕の真上を飛んでいるクロが元気な声で言う。
「え?ちょっとまーーー」
僕が止めようとするもクロは止まらなかった。
「《ブレス》ッス!」
クロの体がどんどん大きくなっていき、大きくなった体の上部分は霧で見えなくなった。
やがて恐らくクロの顔があるであろう部分に光が集り始めた。
「行くッスよ!」
クロは顔を地面に近づけると地面と平行にブレス攻撃をにする。
首を左右に動かして確実にトカゲ2匹を倒すために広範囲に攻撃する。
「「ギャーーーーー!」」
遠くの方からトカゲではない叫び声が聞こえた。
これ絶対、プレイヤーに当たったよね?
見えないプレイヤーの方々ごめんなさい!
僕は悪くないです。
この大きな黒い竜がやりました。
この黒い竜が全面的に悪いんです。
僕はちゃんと止めようとしましたよ?
「やったッスか?」
やったかもしれないけど関係ない人たちもやったよね。
「いえ、まだ足音が聞こえます。クロさん、後ろです!」
「了解ッス!《ブレス》ッス!」
クロは体の大きさには似合わない機敏な動きで振り向くと1日に3回しか使えない《ブレス》の2回目を放つ。
「「「ギャーーーーー!」」」
またトカゲではない叫び声が遠くから聞こえた。
ごめんなさい!
見えないプレイヤーの方々、本当にごめんなさい!
「足音はしなくなったので今の攻撃で倒すことが出来ましたね」
あんこがトカゲ達を倒したことを伝えるとクロの体が縮んでいき今では見慣れた小さい黒竜の姿に戻る。
「兄貴、見てったッスか?我やったッスよ!」
そうだね……。
「もし今後、今の《ブレス》に巻き込まれた人に会ったら謝ろうね。僕も一緒に謝ってあげるから。」
「何の話をしてるッスか?それより褒めて欲しいッス!」
クロの言葉に僕は内心でため息をつくと同時に僕はその時が来たらクロのためにも僕が真剣に頭を下げて謝ろうと決めるのだった。
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