109話 今日からテスト週間!
僕は本日、朝一番のアオとの会話で今世紀最大の危機に陥る。
「あのー、アオさんもう一度言ってもらってもいいですか?」
「師匠の頼みなら何回だって言いますよ。」
「何回も言わないで欲しいな。一回だけでいいから。」
「そうですか。ではもう一回だけ言いますね。今日からテスト週間ですよ。」
テスト週間……。
完全に今日からだということを忘れていた。
今日からテスト週間。
つまり1週間後にテストがある。
先生に呼び出されたあの日から勉強はしていた。
言われてから1週間は……。
三日坊主ではないだけ褒めて欲しい。
今日からどうしよう。
昨日ユウに剣の使い方のアドバイスをもらって今日から実践してゲームでも現実でも振り続ける予定だったのに!
勉強をしなければならないではないか!
「師匠は今日からどうしますか?いつも通りログインしますか?」
「みんなも勉強しないといけないだろうし、みんなの迷惑になったらいけないから僕もやめておくよ。」
少しせこいが「みんな」という言葉を使うことであたかも自分は大丈夫感を出す事が出来る。
つまり僕は見栄を張ったのだ。
「俺は大丈夫ですよ。普段から勉強してますしからテスト週間だからといって変わることはありません。」
一瞬で僕の見栄が無意味になってしまった。
そうだった、アオは勉強もスポーツも何でもできる完璧人間だった。
「で、でもレイクはどうか分からないよ?」
とっさにレイクを犠牲にする。
「私の話してる?」
「げ!レイク。」
レイクを犠牲にしたところで丁度レイクが登校してきてしまった。
「げってなに?何の話してたの?」
「今日からテスト週間でしょ。だからゲームのログインをどうするかっていう話をしてたんだよ。レイクは今日からテスト勉強を始めるからログインできなくなるよね?」
「テスト勉強?そんなことしないよー。普段の授業聞いてたら十分だもん。」
そうでした、レイクもアオと一緒で勉強もスポーツもできる完璧人間だった。
まあ、レイクを完璧というのは足りないものが多そうだけど……。
「フータ今失礼なこと考えたでしょ。」
「え!?か、考えてないよ。」
嘘です。
考えていました。
僕は心の中で正直に言う。
「本当?だったらいいんだけどね。話戻るけどフータは勉強しなくちゃいけないでしょ。あんまり成績よくないみたいだし。」
「何故それを!?」
「さっき先生と廊下で会ってその時に聞いた。」
「師匠本当ですか?」
「うん……。」
僕は恥ずかしいので小さく頷く。
「それでね。先生が私とアオでフータの勉強を見てあげて下さいだって。ということで今日の放課後、図書館集合ね!スパルタでいくよー!」
「師匠、安心してください!俺も頑張りますから!」
本当にいいの!?
この二人に勉強を見てもらえるなら今回は絶対に赤点回避できるよ!
「師匠、参考までに前回のテストはどうだったんですか?」
「前回?ほとんど全教科30点だよ。」
「え?」
アオが驚愕の顔をしている。
「え?僕何かおかしいこと言った?」
「師匠、安心してください!俺も頑張りますから!」
「アオ、そのセリフ2回目だよ。」
そして始業のチャイムが鳴るのだった。
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