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102話 今日は欠伸が止まらない!

 私の名前は熊野絵美くまのえみです。

 畑山高校2年A組の生徒です。

 最近はなんとなく始めたチェンジワールドオンラインというゲームでパレットとして楽しく遊んでいました。

 そう、遊んでいました。

 昨日ハーマリの街を歩いていたらいきなり後ろから抱えられてどこか分からない豪華な家の中に誘拐され、『フォレスト』という聞いたこともないギルドに入ることになりました。

 ギルドに入ったと思ったら次は化け物に追いかけられました。

 何とか逃げ切れましたがその日の夜、夢の中でも化け物に追いかけられ続けられました。

 おかげで今日は寝不足です。

 「ふぁー。」

 さっきから欠伸も止まりません。

 「恵美ちゃんもしかして寝不足?実は私も寝不足なんだー。」

 後ろからいきなり話しかけられる。

 「誰ですか?」

 「誰ってひどいなー。私だよ、わ・た・し。」

 後ろから声をかけてきた女が私に顔が見えるように私の前に立つ。

 「誰ですか?」

 「ひどいっ!泉だよ!後ろの席の泉だよ!」

 「あー、後ろの席のいつもうるさい人ですか……。」

 「うるさいっ!?」

 この人は何を驚いているのでしょうか?

 自覚がなかったのでしょうか?

 そういえば昨日「うるさい!」ってよくいう人がいましたね。

 名前は……なんて言いましたっけ……思い出せませんね。

 思い出せないので諦めましょう。

 「私の寝不足の理由知りたい?」

 「別に知りたくありません。」

 「そっかー。それじゃあ教えてあげるね!」

 この人は私の返事を聞いていなかったのでしょうか。

 昨日の私を誘拐したレイクというプレイヤーも人の話を聞かなかったですね。

 「夢の中で大量のうさぎに押しつぶされる夢を見たんだー。凄く幸せだったよー!」

 それは本当に幸せなのでしょうか?

 「そうですか。それでは私は失礼します。」

 私は丁寧にお辞儀をしてこの場を立ち去ろうとします。

 何故ならこれ以上の会話はめんどくさいと判断したからです。

 「ちょっと待ってよ!どこ行くの?私も一緒に行っていい?」

 「いえ、ついて来ないでください。」

 「そんなこと言わないでよー。そうだ!恵美ちゃんは何で寝不足なの?もしかして怖い夢でも見ちゃって眠れなかったとか?」

 「うっ……。そ、そんなわけないじゃないですか。テスト勉強をしていました。」

 この人エスパーか何かですか!?

 「そっかー。テスト近いもんねー。あっ!テストで思い出した!次の時間の小テストあったんだった!勉強しなくちゃ!そういうわけだから一緒に行けなくなった。ごめんね!」

 泉さんはそう言うと小テストの勉強を始めてしまいました。

 さて、私は勉強をする必要もないので、これ以上絡まれないようにどこかに行くとします。

 廊下に出るとブツブツと独り言を呟きながら歩く人とすれ違いました。

 

 「やっぱり森山君が師匠なのかもしれない。」


 声が小さくてよく聞こえませんでしたが私が気にすることもないですね。

 私は今日も平和に一人で静かに過ごすことができればいいです。

 「ふぁー。」

 やっぱり寝不足みたいです。 

 

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