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101話 腕を投げてはいけません!

 「もうすぐだ!みんな頑張れ!」

 フィールドの切れ間はもう目と鼻の先だ。

 「キェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

 べリアちゃんによって後方に飛ばされた化け物が叫び声をあげる。

 僕は叫び声を上げた化け物の方を見る。

 「なに……してんだ……?」

 化け物は自分の左腕を引っ張り引き千切ろうとしていた。

 「おい!おこぼれ王子、あいつ何してんだ?」

 「僕に聞くなよ。分かる訳ないだろ。」

 何がしたいのか分からないけど嫌な予感がする。

 でもフィールドの切れ間はすぐそこだ。

 出てしまえばあの化け物が何をしようと関係ない。

 左腕を引き千切った化け物は右手で自分の左腕を持ちニターっと笑った。

 悪寒がした。

 化け物は振り被り自分の腕を物凄いスピードで投げた。

 腕が回転しながら僕達に迫る。

 「みんな飛び込め!」

 僕の指示で皆が一斉に赤いフィールドからいつもの平原に飛び込む。

 

 「助かった……?」

 地面を見るとしっかりと草は緑色で見上げると空も青かった。

 化け物の腕はフィールドを出た瞬間に塵になっていた。

 化け物が僕たちの目の前まで来るがそれ以上進んで来ようとはしない。

 「本当にここから出てこないよね?」 

 「多分……。」

 フィールドの外に化け物が手を伸ばす。

 そうすると化け物の指先が崩れ塵になってしまう。

 化け物は手を引き自分の崩れた指先を見つめる。

 「キェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

 化け物は僕達を見て叫ぶと方向転換してペタッペタッとゆっくり歩き始めた。

 化け物の行く先に石の扉が出現して化け物は石の扉の中へと帰っていった。

 ここでようやく僕たちの緊張の糸が切れる。

 みんな座り込み息を吐く。

 フィールドの時間も切れたのか僕たちの目の前はいつもの平原の光景に戻っていた。

 「お前らのせいでひどい目にあったぞ!」

 担がれたままのキーラが僕達に向かって言う。

 「どう考えたって自分のせいだろ!自分のスキルくらいちゃんと把握しておけよ!」

 「う、うるさい!」

 「一つ聞いてもよろしいですか?」

 僕たちの言い合いに割って入ってきたのは先生だ。

 「なんだよ?」

 「キーラ君のフィールド展開系のスキルの名前を聞いてもいいですか?」

 「それって……。」

 「はい。私のスキルが発動しなかったのが気になりまして。」

 「《逢魔の国》っていうスキルだけどなんか関係あるのか?」

 キーラのスキルが《逢魔の国》で先生のスキルが《常夜の国》、そして僕のスキルが《森の目覚め》。

 僕のスキルは問題なく発動したんだよな。

 先生とキーラのスキルに共通している国の部分が関係あるのか?

 「国と付くスキルは同じ場所に発動できないかもしれませんね。試してみましょうか。《常夜の国》。」

 先生がスキル名を唱えると辺り一面夜になる。

 「なんだ!?」

 キーラが驚いた声を上げる。

 「驚くなよ。お前と同じスキルぞ。」

 「なんだと!?じゃあお前も王の称号を持ってるのか!?」

 気づくの遅いな!

 「リーダー、気づくのおせー。俺なんてとっくに気づいてたぜー。」

 「俺だって気づいてたよ!お前よりも前からな!」

 何でばればれの嘘をつく……。

 「キーラ君《逢魔の国》を発動してみてもらえますか?」

 「あ?お、おう。《逢魔の国》。」

 キーラがスキル名を唱えるが《逢魔の国》は発動しない。

 「何故だ!?何故発動しない!?」

 この子は話を聞いていなかったのかな?

 「ありがとうございました。おかげで謎が解けました。さて、問題も解決しましたし帰りましょうか。」

 「おい!帰ろうとするな!俺の問題が解決してないだろうが!」

 「後はジャック君に任せますね。」

 「任されたぜー。さっ、リーダー俺達もギルドハウスに帰るぞー。」

 「待て!まだ話は終わってない!ジャックいい加減俺を放せ!」

 担がれたままのキーラはジャックから降りようともがくがジャックは降ろす気がないのか担いだままだ。

 「そ、そうだ!最後にお前たちに言っておくことがある!俺達のギルドの名前は『秘密結社悪の盗賊団』だ!忘れるんじゃねえぞ!」

 ダ、ダサい!

 ダサすぎて忘れるんじゃねえぞと言われなくても忘れられいだろう。

 「私からもあなた達に最後に言いたい事があります。」

 パレットがキーラたちに言いたい事があるようだ。

 「そのギルド名すごくダサいです。」

 ズバッと言い切ったー!

 思ってもちょっと気を使って言わなかったことをこの子ダサいと言いっ切りましたよ。

 「なんだとー!今から……。」

 「それじゃ、俺達急ぎの用事を思い出したからすぐに帰らせてもらうぜー。」

 ジャックが逃げるように走り出した。

 「おい!止まれ!俺は今からあいつらにこのギルド名のかっこよさを伝えなければならないのに!止まれって!」

 キーラがいくら怒ろうがジャックが止まることは無くすぐに僕たちの前からいなくなった。

 もしかしたらジャックはギルド名を恥ずかしいと思っているのかもしれない。

 僕もあのギルド名だったら恥ずかしいとおもっていしまうなー。

 まあ、なんにせよ問題事が片付いてよかった。

 早くギルドハウスに帰って休みたいなー。

 「みんな帰ろうか?」

 みんなが僕の言葉に返事をして僕達はギルドハウスに帰る。

 全く、化け物に追いかけられるなんて体験は二度としたくないなー。

 あ……レイク達は二回目だった。

 

 僕はそんなことを考えながらギルドハウスへ帰るのだった。

 

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