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99話 使い魔の正体!

更新遅くなってごめんなさい!

 僕達が平原に近づくとさっきまで澄み切った青色だった空がいきなり赤く暗い夕方の空に変わる。

 その夕方の空は暖かさや気持ちの良さなどは一切なく、心細さや恐怖を感じるような雰囲気だ。

 恐怖からか手を繋いでいるきーこが僕の手を強く握る。

 「こ、これは……。」

 何の前触れもなくあたり一面の景色が変わった。

 これは間違いなく僕の《森の目覚め》や先生の《常夜の国》のようなフィールド展開系のスキルだ。

 そうなるとこの先にいるのは王の称号を持った人物がいることになる……。

 僕たちは確信を持ち覚悟を決め先に進む。

 この後王の称号持ちとの戦いになると。

 

 「遅かったなー!おこぼれ王子!」

 空の色で赤く染まった誰もいない平原に遠くから大声で叫ぶ男とその横で不気味に笑う男がいる。

 「あいつらは!」

 僕のよく知っている奴らだ。

 『宝探しゲーム』の時レイク達を追い込んだくそ野郎共だ。

 最悪だ。

 よりによってあのくそ野郎のどちらかが王の称号を持っているなんて!

 今のところどっちが王の称号を持っているのか判断できない。

 なぜなら両方とも装備が変わっていて使い魔がいないからだ。

 一人は刃が紫色の包丁を持っていてもう一人は赤色の宝石が付いたネックレスをして古くてボロボロな本を一冊左手に持っている。

 どんな使い魔か分からない以上使い魔も一応警戒をしておく。

 腰に装備している森王の剣に手をかけどんな攻撃でも対処できるようにしておく。

 「お前らにひとつだけ言いたいことがある!」

 本を持っている男が人差し指を真っ直ぐ僕に向け大声で言う。

 「俺とジャックはこの一週間この場所で暴れに暴れた。なのになぜ今日まで来なかった!俺達のせいでみんなが迷惑してただろ!この一週間でどれだけのプレイヤーがハーマリから離れたことか。この一週間何してやがった!」

 あれ?

 もしかして怒られてる?

 「聞いてるのか!」

 「は、はい!」

 勢いで返事をしてしまった。

 「いいか?よく聞け。俺はお前たちを呼びに行くように何人ものプレイヤーをギルドハウスまで行かせた。なのになぜ一人もギルドハウスまでたどり着くことなく途中で倒されて帰ってきたと思う?」

 何でだろう?

 僕たちのギルドハウスに来たのはトンドットさんだけだしな。

 途中もそんな強いモンスターが出るわけでもないし……。

「あっ!」

 何か気付いたような声をあげたのは隣にいるアオだ。

 「アオ何か心当たりがあるの?」

 「はい……。実は……。」

 どうやらアオはレベル上げをしている最中にギルドハウスに向かっているプレイヤーを見つけ次第倒していたようだ。

 「フォレストを狙って攻撃しに行くものだと思いまして……。ごめんなさい!」

 深く頭を下げるアオの肩に僕は手を乗せる。

 「顔を上げてアオ。ギルドを守ろうとした結果でしょ。謝ることないよ。むしろグッジョブだ。」

 そう言って僕は親指を立てる。

 「師匠!」

 「ちっがーう!何で俺はお前たちの師弟ごっこを見せられているんだ!」

 「ごっことは失礼な。」

 「俺が言いたいのはどこかのアホ弓使いのせいで皆が迷惑したということだ!」

 「さっきから聞いていれば、そもそもあなた達が暴れなければ誰も迷惑してないでしょ!」 

 レイクが正論を言った。

 僕も少し思ってたけど言わなかったのに。

 ズバッと言ったなー。

 正論を言われて相手はどう出る?

 「は?お前頭沸いてるのか?俺は悪者だから暴れるのが仕事だろ?」

 本を持った男はどや顔で言い切った。

 あ、これあれだ……。

 ユウと一緒のやつだ。

 キャラになり切ってるパターンだ。

 「悪者だったらなんで他の人の迷惑なんて気にするの?」

 レイクが自称悪者の痛いところ突いた。

 「ぐっ、……。そ、それは……。」

 「答えられないの?答えられないなら悪いことをするのはもうやめな。」

 レイクが諭すよう言う。

 「う、うるさい!黙れバカ女!」

 「『宝探しゲーム』の時のことは許してあげるから。こんなことはもうやめよ。」

 レイクがどんどん攻める。

 「う、うるさい!」

 「おっと、そこまでだー。これ以上リーダーを諭さないでくれー。うっかり心変わりされたら困るからなー。」

 「惜しい、もう少しだったのに。」

 本気で心を入れ替えさせようとしてたんだ!?

 「リーダーも騙されるなよ。ここで何をするのか忘れてねえだろうな。」

 「そうだった!お前らはここに来た時点で負け確定だ!ここは既に俺のフィールドだからな!」

 俺のフィールドということは本を持った男がここにフィールドを展開しているのか。

 「俺の名前はキーラ!俺は《黄昏たそがれの王》!そしてこれが俺の使い魔だ!《使い魔召喚》!」

 キーラと名乗った本の男の前に黒い靄がかかりその奥に大きな石の扉が出現する。

 石の扉がゆっくりと開き扉の奥から何かが出てこようとしている。

 ピタッ、ピタッ、っと音をたてながら一歩一歩こちらに近づいてくる。

 「あれは……!」

 いち早く反応したのはレイクだ。

 そしてあんこゆきべリアちゃんも何かに気づいたようで険しい顔をする。

 何が出てくるんだ?

 扉から何かが出た。

 その姿が明らかになった瞬間空気が変わる。

 ば、化け物だ……。

 辺りの熱が一気になくなり、今すぐ逃げ出したいと思うような恐怖が背筋をなぞる。

 「これが俺の使い魔だ!」

 クケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケ!

 赤く染まった平原に化け物の笑い声が響き渡る。

 その笑い声を聞いて僕は恐怖で動くことが出来なかった。

  

読んでいただきありがとうございます!

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