98話 2人の少年は夜になると悪者を演じる!
眼鏡をかけた少年と黒髪の少年が並んでが道を歩いている。
「クソッ!」
「おいおい、ダメじゃないか。ゲームの時の口調がまだ残ってるよ。」
「うるさいな!俺は元々こういう口調だ!元から根っからの悪だ!」
「悪って……。中学2年生だからそういうものに憧れるのもおかしくないけどゲームの中だけにしてくれる?流石に一緒にいて恥ずかしいよ。それに君は根っからの悪じゃなくて根っからの善人じゃないか。」
「俺は悪い。物凄く悪い。ほら、こうやって悪さもできる。」
そう言って黒髪の少年はごみを道に捨てる。
「何やってるの?」
「見てわからないのか?ポイ捨てだよ。ポイ捨て。まさに極悪非道。俺が一日一つずつごみをポイ捨てすることでいつかは世界にごみがあふれかえり破滅するだろう!」
「破滅って……。君は何歳まで生きるつもりだい?それにほら……。」
黒髪の男の子は数歩戻って今捨てたはずのごみを拾う。
「何で拾ってるのさ。」
「う、うるせえ!」
「ほら、君はそんな小さい悪いことも出来ない。その上、他に落ちているごみまで拾っている。君はこの世界から道端に落ちているごみを全てなくしたいのかな?」
「馬鹿を言うな!そんなのは一人一人が意識してごみはちゃんとごみ箱に捨てないといけない。俺にできるのは俺の目が届く範囲にあるごみだけだ。」
「そういう話をしてるんじゃないんだけどな……。ほらほら、もうごみ拾いは終わり。悪者を目指してるんじゃなかったの?」
「そうだった!」
黒髪の少年は驚いて両手いっぱいに抱えたごみを落としてしまう。
「そうだった。俺は悪だ。こんなごみここで捨ててやる!捨てて……。」
「そんな葛藤するなら悪ぶるのはやめればいいのに。ここで捨てれないならそこの公園にあるごみ箱にポイ捨てして来たら?」
「そうだな!いい考えだ!そこの公園のごみ箱の中にポイ捨てして来るとしよう。」
「勝手にするといいよ……。僕はもう帰るからね。また、ゲームの中で。」
眼鏡の少年は呆れた顔で帰っていく。
「ああ、またゲームの中で!」
黒髪の少年は嬉しそうにごみ箱の方へ駆けてく。
「ほら、やっぱり君は善人だ。」
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夜
「ギャハハ!楽しー!最強って感じだーねー。なー、リーダー。」
「ああ!悪者って感じだ!俺はこのゲームの王様だ!おこぼれ王子を呼んで来い!俺はあいつに恨みがあるんだ!とっておきを出してもいいんだぞ!」
「リーダーが弱すぎて以前いたメンバーはいなくなったけど俺だけはぞこって良かったなー。」
「うるさい!俺のせいにするな!お前のキャラが怖すぎて皆いなくなったんだろ。昼とキャラ変わりすぎだろ。俺でも引くぞ。」
「ギャハハ!悪ぶりたいんだったらなー、これ位やらないと悪党は名乗れないぜー。恨みがあるっておこぼれ王子にこだわってるが有名プレイヤーに絡み続けていれば自分が悪者と知れ渡るかもしれないとってる?」
「そ、そうだけど……。」
「ギャハハ!せいかーい!ご指名がやってきたぜ、リーダー。悪者になる準備をしておくんだぜー。」
「ようやく来たか。始めよう。《逢魔の国》!」
眼鏡の少年と黒髪の少年はゲームの世界でジャックとキーラという悪者プレイヤーになるのでした。
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