4話 帰宅
空が青く、太陽が頭上で燦々と輝く時間帯。
二人は村へ戻る。少し早く戻れたのは運よく鹿と遭遇出来たからだろう。
村の中心の広場では宴の準備が順調に進んでおり、所々にかまどや薪が組まれている。
「なぁ親父、あれ、なんだ?」
広場の橋の方には、何かの紋様が描かれている馬車がとまってある。
「ん?あぁあれか。あれは行商人の馬車だな。んであのマークは冒険者ギルドの証だ。」
「へぇ~」
「そうか、あいつらが来る時間帯はお前は畑に行ってるもんな。そりゃ知らないわけだ!」
冒険者ギルド、なかなか胸がトキメク響きだ。
そういえば昔、母のケーラに教えてもらったことがある気がする。
冒険者ギルドの他にも「商人」「魔術師」「鍛冶師」「調理師」「郵便」「闇」などがあるらしい。読んで字のごとくそれぞれがそれぞれを管理しているんだそうだ。冒険者以外にあまり興味がなくて、ちゃんと聞いていなかったことを若干後悔。
ちなみに両親は元々冒険者をやっていたらしい。結婚を機にこの村にやってきたんだとか。それと何故か冒険者ギルドを嫌ってるようだった。
やっぱり男なら冒険者ギルド行かなきゃだよなぁ・・・。
「ん?行商なのになんで冒険者なの?」
「それはちょっと事情があってな・・・」
事情に踏み込みかけたところで、一人の男が近寄ってくる。
「やぁ!君が今日の主役かい?ずいぶん若いんだね!」
肌は浅黒く筋肉質のつるっぱげが陽気に話かけてきた。
「えぇ、まぁ・・」
こういうグイグイ来そうなタイプは若干苦手だ。
「おぉ?お前見ない顔だな。新人か?」
親父が少し渋い顔で問う。俺との会話が中断されてイラっとしたのだろう。
「あ、初めまして!挨拶が遅れてすみません!俺はレジンといいます!ダンさんですよね?噂はかねがね聞いてます!実はですね、元々レスト村担当の方が怪我で動けない状態になりまして・・・それで自分が臨時で抜擢された、って具合なんですよね!今日はよろしくお願いします!」
少し早口気味に経緯を説明し、右手を差し出す。
「お、おう・・・よろしく」
と、少し押され気味で握手をする親父であった。
それでアイツは大丈夫なのか?と話しが続いたので、俺は鹿を親父に押し付けその場を後にする。
家に戻ると母ケーラが宴で使用する食材を調理していた。
「ただいま~」
「ッ!?」
振り返り唖然とする母である。
「・・・何かあったの?こんなに早く帰ってくるなんて」
「え、いやもう狩り終わったから帰ってきたんだけど・・・」
「・・・え?ほんとに?」
「え?うん」
少し間が開き・・・
「・・・さすが私の息子だわ!子供とは思えないわね!もはや人外の存在ね!!!」
「いやいやあんたの息子ですから!?親父と同じこと言ってるよ!??」
「ふぅ、私もまだまだね」
何が「まだまだ」なんだろう・・・。
「まだまだアルムの出来の良さの認識が甘かったようだわ!!」
あっ、そういうことね・・・。
「・・・それじゃちょっと畑の様子見てから温泉行ってくるよ」
「ええ、気を付けていってらっしゃい!」
母さんは俺の頭を撫でてから台所に戻っていった。
あ、評価ありがとうございます!
急に寒くなったので体調に気を付けながら適度にそれとなく頑張ります('ω')
ここを覗いてくれたりしてくれてる方も体調にお気をつけください!
後書きが日記みたいになってきた