プロローグ3・何の感動もなく
各話タイトル決めるのつらい
ゲームのプレイヤー名決めるのと同じくらいつらい
「うーん・・・強い身体もいいし健康な体も・・どっちも捨てがたい。特殊能力みたいなにも・・・う~~~ん」
「望みは一つだけ、何てことはないので何個でも大丈夫ですよ。ただ、世界に叶えて貰えるわけではありませんが。」
老人はコップにインスタントコーヒーを入れ、お湯を注いだ。
「ハッ!?すみません、声に出てました!!・・・望みって何個でもいいんですか!?あと、コーフィンさんが叶えてくれるわけじゃないんですね!??」
いつの間に心の声が出ていたようだ。恥ずかし。
「はい。私はただの導き手なもので。そうですねぇ、最初から世界最強だとか不老不死のような世界にとって異質なもの、は叶えて貰えないでしょうねぇ。・・・はぁ、やはりインスタントコーヒーは美味しいですね」
なるほど、つまり生まれた時点または発生した時点で中央値から逸脱しているようなのはアウトってことなのかな。ってことは、健康な身体は大丈夫なはず。あとは肉体の強度的なものだけど、これはポテンシャルが高い身体でいける気がする。特殊能力はどうだろう・・・これも成長と共に強くなればいいのか?うーん、悩みどころ。しかし、負けるな俺の想像力!あの頃を思い出せ俺の妄想力!
ところでいつまで考えてて良いんだろう。
「あ、ちなみに考える時間ってどのくらいあります?」
「この後、予定が入ってるので出来れば早めにお願いしたいですねぇ。こんな爺でも忙しかったりするんですよねぇ。」
「そうですか・・。それじゃ決まりました!概ねは!」
「おやおや、もう少し悩んでも大丈夫ですが」
「いえ、もう大丈夫です!」
あんまり悩んでても仕方ない!泥沼にハマるのが一番だめなやつだ!
「わかりました。では、転生前に手紙などはどうです?」
コーフィンはカウンターの中から封筒と紙を取り出す。
「え?手紙、ですか?」
「えぇ。これも特別措置の一つだと思ってください。」
「はぁ、では書いてみようと思います。宛先はどこでも大丈夫ですか?」
「あなたの前世の世界ならどこでも大丈夫ですよ。ただ、今の状況を書くのはだめですね。もし書いてしまった場合、手紙自体が消えてなくなるかもしれません。」
「あ、わかりました。」
手紙かぁ。やっぱり両親だよなぁ。あとは、ヒメノとユミカちゃんかな。
学校なんてほとんど行けなくて友達はいないし、いやいるけどね。小学校の友達が・・・。その辺りの友達にはヒメカから伝えてもらおう。
・・・
よし、書けた!
だいぶ幼稚だけど何とか形には出来たぞ!
誰がどうやって運ぶのかは謎だけど!後はお願いします!
「コーフィンさん、終わりました!よろしくお願いします!」
何らかの紙を読んでいるコーフィンに声をかける。
「はいはい、では後程お届けしますね。さて、もう行きますか?」
「これといってやることもないので、もう大丈夫ですよ!」
「もう一杯くらいならコーヒーを出せますが?」
「あ、いえ、結構です!もう行きましょう!」
「そうですか・・・」
もし飲むって言ってたらどっちのコーヒーだったんだろう。
それにしてもちょっとガックリしすぎじゃないかな・・・?
「では、ついてきてください。」
コーフィンは立ち上がらり、カウンターの右奥のドアを開ける。
そのドアの向こうは、少し長めの廊下になっており、右側にはいくつかのドアが並んでいる。このドアが異世界への入り口なのだろうか。
前を歩いているコーフィンが立ち止まる。
「こちらです。心の準備が整いましたらお入りください。」
お、ついにこの時が来たか!いよいよ俺は異世界に旅立つのだ!
スゥー、ハァー。
深呼吸をして気合を入れなおす。
「コーフィンさん。本当に短い間でしたが、お世話になりました!手紙、よろしくお願いします!」
「はい。責任をもってお届けしますよ。それでは、良い旅路を。」
紳士然としたお辞儀する。
ドアノブを回し、ドアを開ける。
中はなんの変哲もないただの部屋だった。一歩足を踏み入れると
「あれ?うわ、うわああああああああぁぁあぁああぁぁ!!!」
そこに地面はなく、真っ暗な穴となっていた。
落ちる直前、コーフィンさんを見てみると、そこにはさっきまでの紳士な様子はなく。
ただひたすら、悪戯っ子のように笑っていた。
「はかったなあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・」
こうして俺の異世界転生が始まるのだった。