表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元病弱少年の異世界転生記  作者: 亡者
1章 レスト村編
11/11

7話 不穏な空気

―レスト村 村長の家―


 数人の大人がテーブルを囲み剣呑な雰囲気を放っている。


「それは本当か!?」

「この村には何もないんだぞ!」

 男達が喚き立てる。

 

「静かにしろ。それでダン、その根拠は」

 テーブルの上座に座る老人。この村の長が怪訝な顔で問う。


「たしかにあの馬車はいつもの商人が使っていたものだ。それは間違い。問題はあの商人を名乗っていたレジンという人物だ。あいつは“レスト村担当の方が怪我で動けない”と言っていた。腐ってもギルド、そして商人なんだ。仕事の引き継ぎを疎かにするわけがないだろう?」


「ふぅむ。しかし人間なんだ、間違いがあるかも知れないだろう?」


「いや、他にもあるぞ。俺はいつもタバコを取り寄せて貰っていてな、いつもの商人なら俺が聞く前に持ってくるんだ。あいつに"いつものはまだ残ってるか?"と聞いたら、"それなら前の村で売れちまった"といった。取り寄せて貰ってるんだ、おかしいよな?」

「そうだな。商人であれば信用を落とすような真似はしないだろう。」


「だが、もし盗賊の類であれば何が目的だ!?ここには金になるようなものは少ないだろ!」

 麦わら帽子を被った男が声を張り上げる。


「そうだ、たしかに少ない。しかし、人を奴隷として売り飛ばすしたらいくらかは金になる。」


 村長の言葉を最後に沈黙が場を包む。

 数分が経過し、村長が立ち上がる。


「では皆の者、今日から2・3日は警戒を怠るな。仮に、馬車を冒険者ギルドから奪ったものだとするならば、ギルドは商人が帰ってこないことを不審に思い、別の者をよこすだろう。それが奪った者達のタイムリミットだ。だが、冒険者ギルドを敵にするような者たちだ、無策にこのような行動をとるはずはない。いいか、女子供らをすぐに逃がせるようにしておくのだ。今日の宴はこのまま行う。ただし、酒は飲むな。わかったら解散だ。ダン、お前は残れ。」

 

「では準備を急ぎます!」

 と、男達はぞろぞろと家を出ていく。

 この場にはダンと村長しかいない。

 

「狙いは白衣の森か?」

 村長は椅子に座りテーブルで指を組む。


「あぁ、その可能性が高いと思うぜ?奴隷として売り飛ばすとしても、わざわざこんな辺鄙な田舎まで来ないだろう。そんで、アイツは俺の事を知っていた。自分でいうのもなんだが、俺は元高位の冒険者だ。たかだか奴隷のためにそこまでリスクを負うとは思えない。そして、その上で喧嘩を売ってくるとすれば・・・」

 ダンは眉を顰め、言葉尻を濁す。


「そうだ・・・な。ダン、もしもの時は・・・」

 

「あぁ、わかってる。命を賭けてもあの封印を死守する。ま、息子の成長を見るまで死ぬ気はないけどな!!ガッハッハ」

 腰に両手を当て、胸を張り笑う。


「アルムか、あやつはお前以上になるだろうよ。」

 

「当たり前!なんせ俺とケーラの息子だぜ?」


「はっはっは、確かにそうだな。では、あとは頼んだぞ。儂は少し準備をしておこう。」


「おう、任せろ!」

 と胸を叩き、ダンは村長の家を出る。

 

 そして、村では宴が始まろうとしていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ