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椎名はちと松野菘。
二年生と一年生で、学年も違い、また性格も違う二人がこうして先輩後輩の仲になったのは、一緒の部活動に参加していることが原因だった。
椎名はちが園芸部の部室に行くと、そこにはもう松野菘の姿があった。
「あ、先輩。こっちです、こっち」
スチールの四角いテーブルのところに座っている菘はそんなことを言ってはちのことを手招きした。
はちは菘の反対側にある、スチールの椅子に腰を下ろして、菘を見る。
(菘ははちの視線に気がついて、にっこりとはちに笑いかけた)
「先輩。これ、食べます?」
菘は言う。
菘の指差しているテーブルの上には薄い四角い白い箱が置いてある。その箱の蓋はもう開いていて、中にはいろんな可愛らしい形をしたチョコレートがたくさんはいっていた。(すでに菘が食べたのか、二つほど、その箱の中にあるチョコレートの数は減っていた)
「食べる」
はちはそう言って、一つ、チョコレートを手にとって、それを口の中に運んだ。はちは園芸部らしくアーモンドの種が乗っている葉っぱの形をしたチョコレートを選んだ。(チョコレートは思っていた以上にとても甘かったけど、すごく美味しかった)




