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 すると白藤の宮はきゅうに少しだけ不満そうに子供みたいに頬の膨らませて、「あら、そんなにまだ私は年老いていませんよ」と若竹姫に文句を言った。(どうやら白藤の宮は、まだまだお若いですよ、とかそんなことを若竹姫に言ってもらいたかったみたいだった)

 そんな不機嫌になった白藤の宮を見て若竹姫は慌てた様子で「す、すみません。そういう意味ではありません。白藤の宮」と少し早口で(いいわけを)言った。

 すると白藤の宮はにっこりと笑って「ふふ。冗談ですよ。若竹姫」と言った。(その白藤の宮言葉を聞いて、若竹姫はほっと息をついて安心したのだけど、そのあとも白藤の宮はまだ少しだけ不満そうだった)

 それから畑仕事を続けていると、(畑仕事に夢中になっていたので、若竹姫はさっきのできごとを一時、忘れていた)ふとなにかを思いついたような顔をして、白藤の宮は「ねえ、若竹姫。私と一つ、勝負をしましょうか?」とにやにやとしながら言った。

「……、勝負? ですか?」と顔をななめにして(不思議そうな顔をして)若竹姫はいう。

「はい。勝負です。私とあなた。どっちがたくさんの瓜を収穫することができるか、勝負をしましょう。ね、楽しそうでしょう?」

 そう言って、本当に楽しそうに笑いながらゆっくりと体を動かしている白藤の宮はいう。

(どうやら白藤の宮は畑仕事に絶対の自信を持っているようだった。それとさっきのことをまだ根に持っているようだった)

 少しだけ悩んでから、若竹姫は白藤の宮に「わかりました」とにっこりと笑ってそう言った。(勝負しないと白藤の宮の機嫌は治らないと思った)

「手加減はなしですよ」自信満々の顔で白藤の宮はいう。

「もちろんです」と若竹姫はいう。

 それから二人は瓜取りの勝負をした。

 最初はしかたないな、くらいの気持ちだったけど、いざ初めて見ると、なんだか白藤の宮と一緒に子供のころに戻って、遊んでいるみたいで、……、それは、本当に楽しい(すごく幸せな)時間だった。

 瓜取りの勝負には結局、若竹姫が勝った。

(うまく負けるつもりだったのに、つい楽しくて勝ってしまった)

 その背中の大きな籠の中にある明らかに自分よりも多い瓜の数を見て、白藤の宮は「悔しいですけど、私の負けですね」と言いながら、本当に悔しそうな顔をして、すごく(やっぱり、子供のように頬を膨らませながら)不満そうな顔をした。

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