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 それから二人は鳥の巣の中にある奥の間と呼ばれる部屋に移動をする。(この部屋で鳥の巣の部屋は全部だった。鳥の巣には全部で三つの部屋があった。それに台所と物置部屋と綺麗な厠と離れのお風呂場の小屋がある)そこにはぼんやりとした橙色の行灯の灯りに照らされている薄暗い闇の中に白い布団がふたつ、並んで畳の上に置いてあった。

 白藤の宮が用意をしてくれた、白藤の宮と若竹姫のための布団だった。

 白藤の宮は手に持っていた行灯の火を消して部屋の隅に置くと、ゆっくりと(とても美しい仕草で)自分の布団に入った。若竹姫はその隣にある若竹姫のためのあったかい布団の中にゆっくりと潜り込むようにして、(子供っぽい動きで)入っていった。

「おやすみなさい、若竹姫」と白藤の宮は若竹姫の顔を見てにっこりと笑って、言った。

「はい。おやすみなさい。白藤の宮」と若竹姫はいう。

 それから白藤の宮がもともと部屋の中を照らしていた行灯の灯りを消して、真っ暗になった部屋の中で、二人は静かに眠りについた。

 白藤の宮はそれから、あっという間に深い眠りの中に落ちていった。(気配でそれがわかった)……、だけど若竹姫は反対に、なかなか眠りにつくことができなかった。(さっきは眠るつもりはなかったのにぐっすりと眠ってしまったのに、今はなんだか眠れない。どうしてだろう? 変に眠ってしまったからだろうか?)

 目を閉じている若竹姫の耳に、すーすー、という気持ちのいい白藤の宮の寝息の音が聞こえている。(その可愛らしい寝息の音を聞いて若竹姫は思わず笑顔になった)

 真っ暗な闇の中で若竹姫は目を開ける。

 鳥の巣の真っ暗な庭からは、虫の鳴く声が聞こえている。(……夏の夜だ、と真っ暗な天井を見つめながら、若竹姫は思った)

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