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「結衣が恋坂の話をするのって珍しいね」
場所は都内の某レストランのテラスの席。
その真っ白な席に座ってアイスコーヒーを飲みながら鮮花は言った。
「そうだっけ?」
オレンジジュースを飲みながら結衣が言う。
「そうだよ。結衣、恋坂の話、あんまり好きじゃなかったでしょ?」
鮮花は大きな帽子を深めにかぶっている。
人気女優である鮮花はそうでもしないと、すぐに顔が周囲にいる人たちにばれてしまうのだった。
それは人気アイドルでもある結衣も一緒で、結衣はその目元に大きなピンク色のサングラスをかけていた。
「そんなことないよ」
結衣は言う。
それから結衣はピーナッツのようなデザートを食べる。
「なんか急にあのころのことが懐かしく思えてさ」
ぼんやりと曇った灰色の空を見ながら結衣は言う。
そんな結衣の顔を見て鮮花はすごくにやにやする。
「なによ?」
結衣は鮮花を見る。
「ふふふ」
鮮花は円形のテーブルの上に身を乗り出すようにして「さては結衣。あなた恋をしているでしょ?」
と結衣に言った。
その瞬間、結衣の顔は真っ赤になった。




