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286 結 むすび ……あなたに会えて、本当によかった。

 結 むすび


 ……あなたに会えて、本当によかった。


「はい、では次のシーンいきます」

 そんな声で、映画の撮影が始まった。

 平結衣は、いつもとは違うオーソドックスな白と黒の制服をきて、桜の舞う小さな坂を一人でゆっくりと上り始めた。

 その坂の上には小さな神社と公園があって、その前にある赤い鳥居のところには、一人の男の人が立っていた。

 黒い制服に身を包んだおとなしそうな顔をした背の高い少年。

 二人は十六歳、という設定だった。

 そして実際にも、二人の年齢は十六歳だった。


 二人は桜の舞う春の季節にこの坂の上の神社の前で出会い、恋をする。それがこの映画、『恋坂』の最初の始まりのストーリーだった。

 結衣はこの映画のシナリオを読んだとき、あまりその登場人物たちに共感をすることができなかった。なぜなら結衣は運命とか前世とかそういうものをあまり信じていはいなかったからだ。

 でも、役作りは頑張った。

 それはプロとして当たり前のことだったし、なによりもアイドルとして活動していくなかで、こうして映画の主役に抜擢されることは、本当に運の良い(実力だけじゃ主役は取れない)ことだと子供のころから子役として仕事をしてきた結衣はきちんと知っていたからだった。


 結衣の演技は監督にも共演者にも好評だった。

 結衣はそれが嬉しかった。

 だけど、結局、この恋坂という映画は映画館で上映されることはなかった。

 いろんな事情があり、お蔵入りとなってしまったのだ。

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