表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

181/452

258

「……約束、守れなくてごめん」陸は言った。

「いいよ。そんなこと」

 早月は言った。

 陸は本当に悲しそうな声でそう言っていたし、早月も陸の顔を見たら、なんだかそんなことはもうどうでも良いことのように思えてきたのだった。

「こうして、ちゃんと会えたんだから」早月は言った。

「うん。そうだね」

 小さく笑いながら、陸は言った。

「陸。そっちに行ってもいい?」と早月は行った。

 早月は如月家の門を通って、陸のいる場所の近くまで行きたかった。そしてできれば、いつものように、ぎゅっと、陸に抱きしめてもらって、凍えてしまった自分の体を陸の体の体温で温めてもらいたかった。

 でも、陸は早月に「それは、……だめだよ」と言った。

「え?」

 早月は驚いた。

 優しい陸なら絶対に「いいよ」と言ってくれると早月は思っていたからだ。

 早月はなんだか陸から拒絶されたような気がして、また少し泣きそうになった。

 降り出した雪はだんだんとその勢いを増していった。

 このまま雪が降り続けば、明日には東京の大地は真っ白な色に染まるのだろうと早月は思った。

 陸はそんな強さを増している雪の降る真っ暗な空を見上げた。

 早月も同じように空を見た。

 そこにはなにもなかった。

 月も星もなく、雪はあったけど、それ以外はただ真っ暗な空が広がっているだけだった。

「僕は早月にさよならを言いにきたんだ」と陸は言った。

 早月はその言葉に驚いて、顔を下げて陸を見た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ