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中学生になってすぐの四月のころ、陸に「君のことが好きです」と告白をされて、早月はすごく戸惑ってしまった。
……でも、少し迷ってから早月は「はい」と陸に答えた。
早月は陸の告白を受け入れた。
早月は陸のことが本当に大好きというわけではなかったのだけど、陸が自分のことを好きだと言ってくれた気持ちは本当に嬉しかった。
だから付き合いながら、陸のことを今よりももっと、もっと好きになっていけばいいと思った。
そうすることができると、そう中学生の早月は信じていた。
……そうだ。
きっと、そうなんだ。
私と陸はきっと運命の相手であり、ずっと以前からこんな風にして、二人は愛し合う関係にあったんだ。
その二人の運命に早月よりも少しだけ早く、陸のほうが先に気がついただけなのだと早月は思った。
こうして二人は幼馴染という関係から、恋人同士という関係になった。
それから二人の距離は、早月が思っていた以上にずっと近くなった。
早月は陸とその告白を受け入れてからすぐに、生まれて初めてのキスを陸としたし、陸は二人っきりになるといつも、ぎゅっと早月の細い体をちからいっぱい(でも、とても優しく)、まるで本当に自分にとって大切なものを守るようにして、抱きしめてくれた。
そんなことをされて早月はすごく嬉しかった。
だから早月は陸のことが、だんだんと本当に好きになっていった。




