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 二人は屋台でお面を買ったり、わたあめを買ったり、りんご飴を買ったりした。

 絵里はそれだけで十分だったけど、忍はそれ以外にも、たこ焼きとお好み焼きを買った。二人は人の流れを抜けて、花火を見るために少し高いところにある神社の境内に向かうことにした。

 街にある愛川公園や学校帰りにいつも通る土手など、幾つかの花火を見るポイントがあったのだけど、そこで花火を見ようと言い出したのは、絵里だった。

 絵里はそこで真冬に告白をするつもりだった。

 それは想像通りのシュチュエーションだった。

 自分の隣にいる相手が、柊木真冬ではなく幼馴染の森野忍だということを除いては……。そんなことを考えて、自分は嫌な奴だな、と絵里は思った。


 神社にはそれなりに人がいた。

 ほとんどの人が男女二人の恋人同士か、あるいはそれ未満の関係の人たちだった。

「この辺でいいかな?」

 忍はそう言って石段の上に腰を下ろした。

「そうだね」

 絵里は忍の隣に座った。

 忍は手に持っていたたこ焼きを食べ始めた。

 そこで絵里は忍からたこ焼きをひとつもらった。

 お好み焼きのほうはすでに忍は食べてしまったあとだった。


 しばらくすると夏の夜空に、綺麗な花火が上がった。周囲から微かにどよめきが上がった。絵里と忍はお互いに黙ったまま、夜空に咲く大きな花火の色を、ただじっと、二人で一緒に眺めていた。

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