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「お前さ、真冬のこと好きなんだろ?」
忍に屋上に呼び出された絵里は、そんなことを言われて内心すごくびっくりした。
……私の気持ちがばれていた。
……忍には、私の気持ちを隠しきることができなかった。
忍にならもしかしたら、私の嘘は通じないかも? とは思ってはいたけれど、どうやらその予想は当たってしまっていたようだった。
「またそういうこと言う。からかわないでよ。怒るよ?」と絵里は冗談っぽい口調で言った。
でも、忍の表情は真剣そのものだった。
「冗談じゃないよ」忍は言った。
「……うん。冗談じゃないね」と観念して絵里は言った。
「それで、いつから真冬のことが好きだったんだよ? どれくらい我慢していた?」と忍は言った。
絵里は今度は自分の本心を隠さずに、本当のことを忍に伝えた。
恥ずかしいかな?とか、うまく言えるかな? とか心配だったけど、自然と言葉が出た。恥ずかしくも、全然なかった。
自分でも不思議なくらい、それは簡単に言えた。
忍は絵里の告白を真剣な表情のまま、真面目に最後まで聞いてくれた。
絵里の話が終わると忍は「一年以上、ずっと我慢してたのかよ。馬鹿だな、お前。そんなことしてるから早乙女に真冬のこと取られちまうんだよ。好きになったんなら、さっさと告白しちゃえば良かったのにさ」と忍は言った。
そんなことを言われたのに、全然腹は立たなかった。
むしろ、自分の言えないことを忍に言ってもらえて、それから自分の気持ちを吐き出したこともあって、なんだか気持ちがすっきりとした。
「本当だね。馬鹿だよ。私は本当に馬鹿」と青色の空を見ながら、絵里は言った。




