別々のミラーハウス
__リンゴの絵が描かれてた道を通ると大きな広場があった。何年も放置されていたのだろう。至る所に錆やホコリがあり、クモの巣も貼ってある。
「…これは酷いな…」
「かなり昔の遊園地だもん…」
そう言いながら歩いていくと大きな看板があった。ホコリをかぶっていてよくは分からないが、きっとこの遊園地の地図だろう。
「最初、どこ行くんだ?」
「そうだね…ミラーハウスはどうかな?」
雪菜はそう言うと、ここから最も近いアトラクションであるミラーハウスを指さした。特段却下する理由もないので二人で歩いていく。
「……あの子、迷子かな?」
一人キョロキョロしながら歩く小さな子供を見つけた。この時間に子供がいるのはどうかと思ったが、ホントに迷子なら大変な事態だと思い、二人で近寄ることにした。
「…ねぇ、ボク?どうしたの?迷子…なの?」
「……ママが…居なくなったの……」
雪菜が優しく問いかけるとその子供は俯いて喋った。
「…お母さんの見た目はわかる…?」
「…覚えてないの…。みンナすグ壊れルカ…ラ…」
子供は突然バグったような声に変わりこちらを振り向く。その子供の顔はひどく爛れていてまるで映画やゲームに出てくるゾンビのような見た目をしていた。
「…オネエちゃンがママニナッテくれルノ……?」
「__邪魔だぁっ!逃げるぞ、雪菜!」
おぼつかない足取りで近寄る子供もどきの胴体を全力でお得意の回し蹴りで蹴飛ばし雪菜の手を握って走る。だが、子供もどき__これからこもどきって呼ぶことにしよう__にはほとんど傷は無くケタケタ笑っていた。
「……まッテよ…オネェちャン……」
「ミラーハウス……この調子だとここも危ない気がするが…行くしかねぇ!」
「そ、そうだね…早く隠れなきゃ……」
二人でそう決めてミラーハウスに逃げ込む。その後来れないように近場の木の板を挟んで動かないようにした。こもどきは開けようと扉をバンバン叩いている。
「とりあえず奥に行くか…離れるなよ。」
「う、うん…任せて」
何を任せればいいかわからなかったが、とりあえず奥に進むことにした。ミラーハウスと言うだけあって至る所に様々な種類の鏡がある。よく目にする鏡や化粧をする時に使うであろう鏡、姿見や手鏡などが飾ってあったり置いてあったりする。……まぁ、だいたいホコリまみれだけど…けど、それが逆に怖さを引き立てていた。
「…あ…あの鏡…」
「お、おい?雪菜?」
何を見たのか、雪菜は突然立ち止まって近くにあった姿見に近づいて行った。そしてゆっくりと手を伸ばすと鏡は光って雪菜を呑み込んでいった。
「えっ……きゃっ!!」
「__雪菜!?」
手を伸ばしても無駄だったようで光が収まると雪菜は姿見の中にいた。
「雪菜!大丈夫か!?」
「こ、こっちはなんとか……でもどうしよう…戻れないよ…」
「…とりあえずお互いに出口を目指そう。そしたら会えるだろう。」
『それは無駄だよ』
俺は雪菜にそう言い出口に向かおうとしたが、俺がいる場所と雪菜がいる場所から声がシンクロして聞こえた。
「なんで…雪菜がここに……」
「なんで…秋谷がここに……」
「それが…案内人の秋菜の役目ですから。」
「それが…案内人の雪谷の役目だからな。」
似た名前の。そっくりな容姿の。同じ声の目の前の少女は、明らかな悪意と楽しみと言わんばかりの目をした複雑な気持ち笑顔を向けていた。
『最初にここに来たのが運の尽き。
さぁさぁ始めよう。
今宵のパレードを。
役者は二名、犠牲者も二名。
禁断の果実に手を伸ばした者は解放され。
それが出来なかった者は永遠の監獄に閉ざされる。
信じるか裏切るかの二択のゲーム。
人の欲望を見せてくれ、楽しませてくれ。
show timeの時間だよ。』
こうして俺達は謎の案内人と呪われた遊園地を抜け出すゲームを始めようとしていた__
えー、数時間ぶりですねと。心の折れかけているゆいです。
なんとか3話目。またまた怖さが足りない話になってしまいまして…いやはや申し訳ないです(抉れるレベルの土下座)
…実はこの話3個3個で別々の視点でお送りしようかなと思いまして。最初にガーッと3個書き、その後ガーッと残った3個、後はハッピーエンドとその後を書こうかなと思っています。……その後を書くかは…分かりませんが、とりあえずはハッピーエンド目指して終わらせていきます。
それでは、次回4話で会いましょう。
楽しんで、読んでいただけると幸いですw
最後に、既に100件近いアクセスを頂けたこと、感謝します。また、日間ではございましたが、ホラー小説のランキング100位以内に入れましたこと、感謝申し上げます。泣いてきますねw
もっと上の順位に行けるように精進していきます!
…長々と失礼いたしました