事の始まり
__皆はウワサと呼ばれる口伝いに発信されていく言の葉をご存知だろうか。なんてことのない話だが、いやはや…ウワサとは不思議なものである。ウワサは更なるウワサを呼び、話は膨らみ人を呑み込む。
「__ねぇ、聞いた?あの遊園地の話!」
「__聞いた聞いた!あの呪われた遊園地でしょ?」
また、犠牲者が二人現れた。呪われたアトラクションは6つ。不思議な動きをする事故が多発するジェットコースターに誰も知らないモノが見えるというアクアツアー。何かが隠されているドリームキャッスルに何もなく廻るメリーゴーラウンド。ナニかが変わるミラーハウスと謎の声が聞こえる観覧車。この廃園のなかで今宵も何者かの愉快で素敵で呪われた悪夢のパレードが始まる。
「__…さぁさぁ、始めましょう?この素敵な楽園で。みんなと楽しいパレードを…もっと私に見せてみて!…さぁ…It's show time…♪」
※ ※ ※
__人は噂をするのが好きだと思う。あることない事言い合い、話を膨らませ、そして無になり、何も残らない。この手の話のオチは読めているのにそれを弄り変えてまた肥大化させる。いつものパターンと化したものを飽きることなく続けいく。概ねそんなものだろう。
「__ねぇねぇ聞いた!?あの遊園地の話!」
大体こんな触りで会話が始まり
「__聞いた聞いた!あの呪われた遊園地でしょ?」
こうして噂の独り歩きが始まる。…その噂話も可哀想だな…
「ねぇ、秋谷?」
そう考えていると、クラス委員で幼馴染みの萩音 雪菜が声をかけてきた。
「…どーした?」
「……遊園地に…一緒に行かない?」
男子諸君。本来遊園地に行こうと誘われたらデートだと思い喜ぶだろう。しかし……
「…断る。大方、あの廃園の調査に行くとかいうつもりだろ?」
「…そっ、そんなことないよー…」
「……こっちみて言えよ…」
雪菜は大のオカルト好きだ。霊的現象とか怪異とか何でもござれ。授業の成績もいいがオカルトに関しても怖いくらいの知識を誇っている。
「…お願い…一緒に来て…?」
「うっ……」
雪菜は他のクラスからもかなりの人気がある。要約すれば可愛いから。そんな可愛い少女に、ましてや幼馴染みからのお願いと言われたら……
「わかったよ…行けばいいんだろ?」
「やたっ!流石秋谷!」
……結局断れなかった__
えー、どうも皆さん。初めましての方は初めまして。私の別作品をご覧なさってる方はお久しぶりです。ゆいさんです(キリッ)
今回は小説家になろう様が開催なさった夏のホラーに参加させていただきました。いや…まだまだ続きますよ?w
初めてのホラーなので至らぬ点や過去作同様話の展開が飛んでいる可能性もございますので、暖かい目でご覧ください。
それではこの独り歩きの寂しがり屋の次話や他の作品で会いましょう。
……長々と失礼いたしましたw