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勘違いはここから始まる④

この話より、タロウ改め、セティと統一して表示します。




『まあ、立ち話もなんじゃ。いい時間じゃしお前さんさえよければ、続きは儂等と一緒に夕食でもどうかの?久し振りに面白いもんを見せてもろうたからのぉ。勿論、子どもからお金はとらんぞい』


アーデルが、セティに話しかける。


『そうだよ!せっかく知り会えたんだし、一緒にご飯食べようよ!ねっ?セティ』


ーねっ?セティじゃねーよ。年上を敬って、御礼に奢らせてくださいだろーが!


常に上から目線のセティ。年上なら、その態度は改めるべきである。


ーまぁ、世界観も分からんし、どうせ断っても、『そんな、ぜひご一緒に』のループだろうしな。夢の中で、ただ飯食えるなんてついてるぜ!やはり日頃の行いか!


内面はともかく、外面を良くするための行動力は昔からあるのは事実である。悲しいのは、誰も心の内を読めないことである。


『宜しいんですか?皆さんにご迷惑をかけることになるのでは?』


ー日本人たるもの、やはり謙遜は必要だろう!とりあえず、このフレーズはマスト!謙遜する気高い貴族って最高!


自己陶酔と、徹底した打算的な考え方には、頭が上がらない。


『そんなことないよ!いくらセティが凄いからって、私達よりも(年齢的に)小さいんだから、遠慮しないの!』


ティアリスはセティを何とか説得しようとする。根が優しいのであろう。


ーふざけんなっ!誰がコボルト程度でヘタレる、低身長の男だって!?舐めやがって!


脳内変換も甚だしい。善意のティアリスの言葉をここまで、悪意に捉えるあたり、性格の悪さはどうしようもない。


『まぁ、セティにも事情があるのかもしれないし。無理強いは良くないですよ。』


リックはティアリスに向かいそう言う。


『でも…』


リックの言葉に、悲しい目で、セティを見るティアリス。


ーリック。てめえはまさに、空気読めない男だな。やっぱ、ちょっと顔が良くて、身長が高い奴は周りが見えてねぇ。流れはどう見ても、

『ご飯行きましょう!』

『いえいえ、ご迷惑になるので』

『そんなことないです』

『本当ですか?それでは是非!』


ーセティさんは人のことも考えられて凄い人ですね!の、既定ルートだろうが。それに、この女もちょっと言われた位で引き下がんなよ!この世界の具現者たる俺とご飯を食べられる機会は二度とこねぇぞ!


やはりこの男どうしようもない。初対面の人に自分の流れ通りにいかないから、お前は空気が読めない奴とは何とも応募である。


ーちっ、少々予定が狂ったが、これ以上引き伸ばして、『では、また次の機会に』だけは避けないと。仕方ない…


『アーデルさん、ティアリスさん。それにリックさんも私を気遣っていただきありがとうございます。実は私、ここ(夢)にきてから間も無くて。知り合いはおろか、地理なども知りません。こちらから、改めてお願いいたします。是非、ご随伴させていただいても宜しいでしょうか?』


先ほどまで、罵詈雑言を並べたてていた人間とは思えない位に丁寧な言い回しである。この返答から、何も知らない新参者であり迷惑がかかる為、アーデルやティアリスの誘いを断った理由も分かるし、リックが言う事情の説明にもなり、誰も傷つかない。しかも、相手からすれば、逆に気を遣わせて誘いを受けてくれたのでは?という恩も着せられる。こういう所ばかりに、頭が回るセティは流石(笑)である。


『良かった!じゃあ、早く外に出よ!』


嬉しそうに笑うティアリス。


セティとこの三人の出会いが後に、世界を巻き込むことになるとは誰も気付いてはいない。

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