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第十六話 突入 その2

「山本大将、何度も進言しましたが、敢えて再び進言いたします。海上近衛隊司令部の地下指揮所で指揮なされた方が、この戦艦『カメハメハ』の艦橋より安全です」


「参謀長、私の身を気遣ってくれるのは嬉しいが、やはり、その進言は却下だ。地下指揮所にいた方が『合理的』なのは分かっている。だが、私は日本人だけでなく、ハワイ王国の将兵も指揮しているのだ。地下指揮所に籠もってしまっては、ハワイ人から『日本人の司令官は、ハワイ人を盾にして安全な所にいる』などと言われかねん。日本とハワイの同盟関係にひびを入れる可能性はできるだけ避けたい」


「分かりました。そう申されるのでしたら最後までお供します」


山本大将は、参謀長の真剣な表情に対して、ワザとおどけた調子で言った。


「この『カメハメハ』は間違い無く『不沈戦艦』だからな。我々の身の安全は保証されている」


参謀長も、おどけて返した。


「おや、山本大将は『不沈戦艦』というのはあり得ないと常々おっしゃってはいませんでしたか?」


山本大将は笑って言った。


「今は例外的な状況にある」






戦艦「ミズーリ」艦橋のキンメル大将は、オアフ島上空に偵察に出した水上機からの報告を待っていた。


だが、期待している報告がなかなか届かないので、内心で少し困惑していた。


(何故だ?何故、敵戦艦『カメハメハ』発見の報告が来ない?我が艦隊を迎え撃つために出撃しているはずだろう?それとも戦艦の数が5対1では勝算は無いと見て、交戦を避けて、ハワイから逃げ出したのか?いや、それでもハワイ周辺の海域には、まだいるはずだろう?)


そう考えている内に、待ち望んでいた「戦艦『カメハメハ』発見」の報告が届いた。


しかし、偵察機から報告された戦艦「カメハメハ」の現在地は、キンメル大将も幕僚たちも予想外だった。


「何だと!?『カメハメハ』がオアフ島の陸上にいるだと!?」


「参謀長、落ち着きたまえ。参謀長たる者が動揺しては、将兵たちに悪影響を与える」


「はっ!キンメル大将、申し訳ありませんでした! 」


「うむ、以後注意したまえ」


キンメル大将は参謀長をたしなめたが、彼が先に動揺を表に出したので、自分が恥を掻かずに済んだことに安堵していた。


「それで、『カメハメハ』の正確な位置は?」


「ここになります」


参謀長はオアフ島の地図を指差した。


「ここはオアフ島の市街地や真珠湾の基地からも離れているではないか?参謀長、ここには何があるのだ?」


参謀長は情報を持っておらず即答できなかった。


幕僚たちが情報を遣り取りして、ようやく答えが出た。


「建設中で未完成の民間の造船ドッグ?何故、そのような所に『カメハメハ』がいるのだ?」


キンメル大将は疑問を口に出した。

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