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第十五話 突入 その1

キンメル大将は命令を下した。


「空母部隊をハワイからの空襲圏内から退避させろ。戦艦部隊だけでハワイに突入する」


航空参謀がキンメル大将に進言した。


「キンメル大将、航空支援無しで敵地に接近するのは、どうかと思われます。空母の損傷した飛行甲板の応急修理が済めば、重い爆弾を積んだ爆撃機は無理ですが、戦闘機ぐらいならば発艦が可能と思われます。応急修理が完了するのを待たれてはいかがでしょうか?」


「いや、それでは時間が掛かり過ぎる。敵は航空機で空母は損傷できても、戦艦に致命的な損害を与えることはできないということが、今ので却って分かった。戦艦部隊の攻撃で敵を一気に降伏に追い込む!」


キンメル大将は部下たちには説明しなかったが、急いでいるのは政治的な理由もあった。


キンメル大将は作戦の準備段階で、大統領と二人きりで極秘に会談していた。


大統領は議会に工作して、ハワイ王国に宣戦布告することにより正式な戦争持ち込むつもりであったが、親日・親ハワイの議員も多いため失敗していた。


それで大統領の権限内できる「紛争」で事態を収めようとしていた。


そのため「手こずっている」という印象がアメリカ国内で持たれると、議会からの大統領への非難が強くなるのだ。。


大統領は、キンメル大将に個人的に「小規模な紛争の範囲内での早期終結」を密命していた。


大統領に抜擢されて、同期で一番どころか先任を何人も追い越して、アメリカ海軍大将に任命された身であるキンメル大将としては、大統領の支持率が低下するようなことになれば、自分も一蓮托生であった。


合衆国の国益のために、そして、大統領と自分自身の個人的な利益のためにも、キンメル大将は紛争の終結を急がなければならなかった。


戦艦部隊はハワイへと進んだ。


ハワイから飛んで来た敵の哨戒機に、ずっと接触されているが、対空砲の射程外のため撃墜することはできなかった。


(あの哨戒機は、こちらの陣容をハワイ司令部に報告しているのだろう。こちらは空母艦載機をハワイ上空に偵察に出せない。戦艦に搭載されている水上機を偵察に出すか?いや、砲撃戦の弾着観測に必要だ。下手に喪失する訳にはいかない。どうせ、ハワイの戦艦が1隻だけなのは明らかなのだ。5対1で押し切る!)






「山本大将、哨戒機よりの報告です」


山本大将は通信文を受け取った。


「米艦隊は戦艦部隊のみで、こちらに突入して来るか……。予想通りだな。砲撃戦用意!」


艦橋の窓から18インチ砲塔が動き出すのが見えた。


今、山本大将は戦艦「カメハメハ」の艦橋にいる。

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