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第十三話 反撃 その1

戦艦「ミズーリ」の艦橋で、キンメル大将は少し動揺していた。


敵の動きが予想とは違っていたからだ。


航空参謀が、キンメル大将に報告した。


「キンメル大将、真珠湾上空からの偵察機の報告ですが、やはり、『カメハメハ』以下、真珠湾にいる敵艦船に出航する様子は無いそうです」


「そうか、分かった」


その報告は、キンメル大将をますます動揺させたが、士気にかかわるので、部下の前で内心を表に出さないようにしていた。


(何故だ?何故、動かない?燃料タンクが我が軍に空襲されて、莫大な燃料を敵は失ったはずだ。このまま真珠湾にいても燃料不足で動けなくなるだけだ。我々が待ち構えているのを知っていても出撃するべきではないか!)


キンメル大将は、出撃した日本・ハワイ合同艦隊と艦隊決戦をするつもりであった。


戦艦の数は5対1なので、米海軍の勝利は確実とキンメルは見ていた。


艦隊決戦に勝利すれば、ハワイ国王は降伏するだろうし、後は、空母に乗艦している海兵隊部隊を上陸させて、ハワイ王国の要所を占領して、この戦いを終わらせるつもりであった。


「キンメル大将、予定とは少し違っていますが、まだ想定の範囲内です。相手が真珠湾から動かないならば、こちから近づいて、撃滅しましょう」


幕僚の一人の言葉に、キンメル大将は力強くうなづいた。


「うん、そうだな。幸い、ハワイ議会の米系議員の働きで、ハワイには沿岸砲も機雷も無い。陸に近づいても危険は少ない。ここは一気に決着をつけるとしよう。空母部隊に通信、オアフ島上空の制空権の確保を……」


艦橋に、通信文を持った伝令が駆け込んで来た。


伝令は、通信文を通信参謀に渡した。


通信参謀は、通信文を一読すると叫ぶように、それをキンメル大将に渡した。


「キンメル大将!緊急事態です!」


通信文には、米海軍の空母四隻すべてが空襲を受けて、飛行甲板が損傷、艦載機の発着艦が不能になったと記載されていた。


「馬鹿な!爆撃機も雷撃機も無いハワイが、どうやって我が空母部隊を損傷させたのだ!?」


キンメル大将の疑問に、幕僚たちは答えることができなかった。






答えを持っているのは、山本五十六大将であった。


「戦闘機部隊による敵空母への攻撃は成功したようだな」


「はい、山本大将、37ミリ機関砲を搭載した零式支援戦闘機による銃撃で、敵空母の飛行甲板を穴だらけにして、発着艦を不能にしてやりました」


「37ミリ機関砲を装備した零式支援戦闘機を『対爆撃機用』を名目に開発して、ハワイに持ち込んだ時は、『37ミリ機関砲を搭載しては動きが鈍くなる』『対爆撃機用には20ミリ機関砲で充分』と、我が海軍内部からも散々批判されたが、それが却って偽装になって、米海軍には、零式支援戦闘機が『実は対艦攻撃機』だと気づいていなかったようだな」


山本大将は不敵に笑った。

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