0.どうにかするのは雑務部
いじめ――国語辞典として名高い広辞苑によれば「弱い立場の人に言葉・暴力・無視・仲間外れなどにより精神的・身体的苦痛を加えること」とある。
一般的に言われる学校のいじめというのは、「スクールカースト」ってやつの上位にいる連中が下位のぼっちなどに向かい「お前キモいんだよ」とか「ウザいから死ね」みたいに罵倒することだ。他にもクラスみんなで無視をしたり、会話するのを露骨に嫌がったり、酷いときには集団リンチにまで及ぶ。
種類やケースは幾多にも及ぶので、これ以上は省略させていただこう。
さて、これを読んでいる読者諸君はいじめに遭ったことがあるだろうか?
自分が対象とならなくとも、現場を傍観していたことは無いだろうか?
あるいはいじめをしていた側だろうか?
いじめとは改善されないものである。国家間ですら強国が結託して弱小国をいじめたり、社会であっても「あいつ気に入らないから」という理由で窓際に飛ばされたりする。無くならないのは当然だ。
原因は格差があるからだ。体育なんかでペアを組む時、群がるほど友達が集まってくるやつと最後までペアが決まらず「余った人はいますか?」で渋々手を上げるやつ、その違いだ。
この格差=スクールカーストさえ無くなってしまえば、上位下位の違いが無くなりいじめは根絶するだろう。全員平等が一番なのである。社会主義バンザイ。ついでに成績も全員一律にしよう。
と理想論を語ったところでいじめは無くならないし、社会主義にもならない。
スクールカーストの上位者には下位を支配できるというメリットがあるから、自分からそれを壊したりしないのだ。政治家が自らの議席数や給料を減らさないのと同じ理屈である。
そうなると現実的な手段しか無い。給料をなかなか減らさない政治家に「減らさないと引きずり落とすぞ」と脅しをかけるのである。
スクールカースト上位者、つまりいじめをした者に対し恐怖心を与えるのが一番だ。「それ以上寄ってくるなら返り討ちにするぞ」と警告をするのである。サルでも叩けば次からは近づいてこないのだ。
ところが「そんなことができれば苦労しない」というのがいじめられっ子の言い分だろう。
だって相手は強いし、複数人だし、言われていることが合っている気がするし……
地元や党に基盤のある政治家を引きずり下ろすのは難しい。サルが相手でも反撃されるのは怖いもの。
しかし安心してほしい。
これから出てくるのは、そんないじめ被害者の味方となる者たちである。
彼らはスクールカーストという制度に対抗する「レジスタンス」だ。独裁政治を行い悠々と暮らしている貴族たちを討つ革命家なのだ。
あるときは学校の雑務を粛々とこなす「雑務部」。
またあるときはダラダラと時間を潰している、やる気の無い「雑務部」。
しかしてその実態は、学校で起きるいじめに対抗し怒りの鉄槌を下す恐怖の「雑務部」。
あれ? 全部同じじゃないか。しかも恐怖感をまったく感じないし。
というわけで今日も彼らはいじめという重き罪と、スクールカーストの上位者という悪徳奉行と戦っていく。
のさばるいじめをなんとする――
教師の裁きは待ってはおれぬ――
クラスの良心もあてにはならぬ――
闇に裁いて鉄槌下す――
晴らせぬ恨み、晴らしま……
じゃなかった、
どうにもならないその思い、どうにかします――