人工物
暗い部屋の中、1人の男が診察台のような台の前でそばにある灯りに照らされながら眉間に皺を寄せて唸っていた。
歳は20代ほど、髪は蒼く肩の辺りまで伸びている。背はこの時代としては平均的な身長である175cmほど。細めだが貧弱そうなイメージは伺えない。
「んー……、判らない……。どうして具現化出来ないのか。」
台の上には何も置れていないはずなのに男はあたかも何かを調べるような手捌きで空を切る。
「天界と魔界じゃ問題なく具現化出来た。なのにどぉして人間界じゃ具現化出来ない?仕方ないな、もう少し細かく調査するか」
男はそう呟くと部屋の出入り口に向かい部屋の外へと向かう。が……ガシャーン!ガラガラ、バキッ!
「うわー……苦労して手に入れたサンプル壊しちゃった…また魔界の深層まで行くのヤダな……よし、見なかったことにしよう!」
割と貴重であるはずのサンプルを壊したにも関わらず、そのまま部屋を後にする。
男が居た部屋の隣はテニスコートほどの大きさがあり色々な武器や防具、絵画や骨董品など様々な物が壁や棚、床にまで散乱していた。
その部屋の中を物色するように眺めながらまたも眉間に皺を寄せて考え込んだ。
「何持って行くかな…今回は細かい調査だし、携帯に便利なのがいいか」
床に散乱している兜や壺などを蹴飛ばしたりしながら投擲用のナイフがずらりと並んだ棚の前に立つ。
「これとこれと、これもいいな。あぁ、でもこっちもいいよなぁ。ん、このナイフここに有ったのか!通りで向こうの棚をいくら探しても見つからないはずだ。」
手に取ったナイフを近くに落ちていた壺の中に次々と入れていく。割と雑に
「こんなもんかな、後は…あれかな。」
壺一杯にナイフを詰め終わると、今度は床に落ちていた黒塗りの鞘に収まっている刀を手に取る。
壺と刀を持って部屋の中央にある机に置くと、手の平をかざし囁く。
「我が手中に納めよ」
すると壺と中に乱雑に入っていたナイフ、刀が霞むようにして消え去った。
壺などが消え去ると指には先程までなかったはずの銀の指輪が嵌まっていた。