影の決意
霧に包まれた森の奥、黒い影がゆっくりと形を変え、重く冷たい空気を押し広げる。
リナたちは足を止め、互いの手を握りしめながら息を整える。
森の静寂の中で、心臓の鼓動だけが胸に響く――緊張と期待が混ざり合った音。
「行くよ……みんな、一緒に」
リナの声は小さいけれど、胸の奥から確かな力となって響いた。
その声に、仲間たちの心も強く結ばれる。
黒い影が一歩、また一歩と迫る。
その存在感は、光を飲み込み、森の中を冷たく震わせる。
リナは深く息を吸い、心を落ち着かせる。
「怖くない……怖くない。私たちなら、きっと」
カイはリナの手をぎゅっと握り返し、低く囁く。
「信じるんだ、リナ。俺たちは一緒だ」
レオは剣を構え、静かに影の動きを見つめる。
ミナは小さく頷きながらも、手の震えを必死で押さえた。
影が攻撃を仕掛ける瞬間、森の中に冷たい風が走る。
リナは仲間たちを守るように前に出て、心の中で小さく誓う。
「絶対に守る……みんなを、ここにいる誰もを」
剣と魔法、手と手、想いがぶつかり合い、影と交錯する。
森の霧が揺れ、黒と光が混ざり合う中、リナの胸に温かい感情が広がる――
恐怖ではなく、守りたい人たちへの想いが、力となった。
一瞬の静寂が訪れる。
影は森の奥にふっと後退し、存在感を保ちながらも姿を曖昧に消していく。
その隙間に、リナたちの決意が光となって残った。
リナは深呼吸して微笑む。
「……やったね、みんな無事だ」
仲間たちは安堵の表情を浮かべ、握った手を離さずにそっと互いを見つめ合う。
森の霧が少しずつ晴れ、朝の光が差し込む。
影はまだ完全に消えたわけではない――
でも、今の彼らには恐怖よりも、未来への希望が確かにあった。
リナはふと、空を見上げる。
朝の光に照らされた森の枝葉が揺れ、微かな風が顔を撫でる。
「これが……私たちの一歩だね」
仲間たちも小さく頷き、森の奥に進む決意を新たにする。
黒い影は遠くで揺れながら、次の試練をじっと待っている――
けれど、今のリナたちには恐れよりも、強い絆と希望があった。
未来への光が、静かに、しかし確かに差し込んでいた。




