影との交差
黒い影が森の奥でじっと二人を見据えている。
霧が濃く、光はかすかに揺れるだけ。
リナの心臓が早鐘のように打ち、胸の奥で小さな決意が炎を灯す。
「来る……!」
レオが剣を構え、ミナが包帯を握りしめる。
カイはリナの手をしっかりと握り返し、視線を影に固定した。
影が一瞬、形を変えて迫る。
その鋭い気配に、森全体がざわめくように感じられる。
「大丈夫……私たちなら、きっと」
リナは小さく呟き、仲間たちと目を合わせる。
その視線には恐怖ではなく、互いを信じる強さがあった。
影が森に飛び込み、空気を震わせる。
カイが前に出て、剣を振る。
リナは手を差し伸べ、仲間を守るように前に出る。
その瞬間、影の姿に光が差し込み、ゆらりと揺れる。
黒の中に、淡い光が一瞬だけ映った。
「……あれは、希望の兆しかも」
リナの心に小さな光が灯る。
互いの呼吸が重なり、緊張と期待が森に広がる。
影との接触はほんの一瞬でも、仲間たちの絆を確かめるには十分だった。
「行くよ、次は絶対に負けない」
リナの決意が、森の霧に溶け、静かに広がる。
影はまだ揺れ、森の奥で待ち構えている――
だが、今の彼らには、恐れよりも希望が強く光っていた。




