封印の扉
森の霧が深く、静けさが耳を包む。
足元の草は露で濡れ、光はまだ弱く、朝の匂いだけが漂っていた。
リナはゆっくり息を吸い込み、手にした包帯や薬を整える。
「ここから先は……みんなで一緒に」
カイが頷き、手をそっと握り返す。
森の奥、古びた石の扉がひっそりと佇んでいた。
封印の力がまだ微かに震えているのが、肌で感じられる。
「……これが封印の扉」
レオが剣をぎゅっと握りしめ、慎重に周囲を見渡す。
リナは扉に手をかざす。
ひんやりとした石の感触が指先を通して心臓まで伝わる。
封印の力が、過去の記憶や未来への希望を静かに揺さぶる。
「誰かを守りたいという想い……」
リナは心の中で小さく呟く。
その言葉が、扉の向こうに届くかのように、微かな光が扉を照らした。
「準備はいい?」
ミナの声が、少しだけ緊張混じりに響く。
「うん、みんなで行こう」
リナの瞳は揺るがない決意で輝いていた。
扉の前で深呼吸をして、一歩を踏み出す。
霧が光に溶けて、未知の世界が、少しずつ姿を現す――。
朝の光と霧、希望と不安、仲間たちの絆が重なり合い、森の奥に新たな物語の幕が上がる。




