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転生したら病弱少女だったけど、看護師スキルで異世界の医療を改革します!2  作者: 櫻木サヱ
暁の約束

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風の記憶

森を渡る風が、リナの髪を優しく揺らした。

その風の匂いは、どこか懐かしくて、ほんの少し切なかった。

――カイと初めて出会った日も、たしかこんな風が吹いていた。


「変わらないね、この風」

リナがそう呟くと、カイは静かに頷いた。

「いや、少し違うかも。今は……俺たちの風だ」


彼の言葉にリナは目を瞬かせる。

照れ隠しのように笑ったその顔に、もうあの孤独な影はなかった。


ミナとレオも合流し、みんなで焚き火を囲む。

燃える木の音がぱちぱちと響き、風の歌と混ざり合う。

穏やかで、どこか夢のような時間。


でも――その夜、リナは不思議な夢を見た。

森の奥、白い霧の中に佇むひとりの少女。

彼女はリナと同じ顔をしていて、ただ微笑んでいた。


「あなたが、もうひとりのわたし?」

問いかけた瞬間、風が強く吹き抜け、少女の姿が消えた。

残ったのは、古びたオルゴールの音だけ。


リナが目を覚ますと、胸の奥に淡い痛みが残っていた。

それは過去からの呼び声のようで、未来への予感のようでもあった。


「風が教えてくれるの……まだ終わってないんだね」


朝の光が差し込む。

リナの髪をなでる風は、まるで誰かの手のように優しかった。

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