表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら病弱少女だったけど、看護師スキルで異世界の医療を改革します!2  作者: 櫻木サヱ
暁の約束

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/38

再び、光の中へ

夜が明けた。

長い戦いの末、森を包んでいた重たい霧がようやく晴れ、木々の隙間から朝日が差し込む。

金色の光が診療所の屋根を照らし、焦げた木の匂いとともに、静かな温もりを運んできた。


リナはベッドの上でゆっくりと目を開けた。

天井を見つめながら、昨夜の出来事をひとつひとつ思い出す。

誰かの叫び声。血の匂い。カイの背中。――そして、あの約束。


「……終わったんだね」


小さく呟く声に、隣から穏やかな笑みが返る。

「終わったけど、始まったんだよ。きっと」

そう言ったのはミナ。包帯を巻いた腕をそっと撫でながら、窓の外を見つめていた。


遠くで鳥の鳴き声が響く。

世界は確かに動き出している。

けれど、その美しさに胸を締めつけられるような痛みが混ざっていた。


リナはそっと立ち上がり、外へ出る。

朝露が光る草原の向こうに、カイがひとり立っていた。

彼は何も言わず、ただ空を見上げている。


「カイ……」


振り向いた彼の瞳には、かすかな迷いと決意が宿っていた。

「リナ。俺……もう逃げない」


その言葉が、朝の風に溶けていく。

まだ冷たい空気の中、二人の影が並ぶ。

そして、初めて笑い合った――まるで、光の中に帰ってきたように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ